伊藤忠商事は、保険金の不正請求で経営難に陥っている中古車販売大手のビッグモーター(和泉伸二社長、東京都多摩市)を支援することを正式に決め、同社などと契約を結んだと7日までに発表した。4月後半にも店舗や整備工場など主要事業を引き継ぐ新会社を発足させ、再建に当たる。伊藤忠は新会社に200億円を出資する方向で検討している。
ビッグモーターの創業家は旧会社に残って不祥事の対応に専念し、新会社の経営に関与しない。新会社は、伊藤忠と子会社の伊藤忠エネクス、投資ファンドのジェイ・ウィル・パートナーズの3社が共同で設立する。3社はビッグモーターの資産査定をした結果、「再建が可能であり、取り組み意義がある」(伊藤忠)と判断した。
伊藤忠は、グループで高級輸入車販売のヤナセを子会社として持つほか、保険代理店として国内に700店舗以上を抱える。ほけんの窓口グループ(猪俣礼治社長、東京都千代田区)のほか、ニッポンレンタカーサービス(藤原徳久社長、東京都千代田区)も傘下に持つリース大手の東京センチュリーにも出資している。伊藤忠エネクスも全国に1600店舗以上のガソリンスタンド(給油所)網を持ち、中古車レンタカー事業「カースタレンタカー」も運営している。伊藤忠としては、ビッグモーターの中古車事業を加え、傘下の自動車関連事業との相乗効果を狙う考えだ。
※日刊自動車新聞2024年(令和6年)3月8日号より