国土交通省は、官民それぞれが開発する「OBD(車載式故障診断装置)検査」関係のシステムやアプリケーションソフトの改修に関するルールを設ける。国による「特定DTC(故障コード)アプリ」などの更新に「検査用スキャンツール(外部故障診断装置)」の開発メーカーが余裕を持ってソフトを改修できるようにし、予期しない不具合を防ぐのが狙いだ。官民連絡会を設置し、米国の先行事例を参考にしながらルールなどをつくる。
「OBD検査システム・検査用スキャンツール技術連絡会」の初会合を近く開く。自動車技術総合機構のほか、日本自動車機械工具協会や日本自動車機械器具工業会、日本自動車工業会などの関係団体が参画する。
OBD検査に使用できる検査用スキャンツールは、ツールメーカーからの申請に基づき、機工協が型式認定を行った製品を対象としている。自動車機構が開発・運用するOBD検査システムや、特定DTCアプリ、OBD検査対象車などでソフトが更新されると、ツールメーカーも必要に応じて検査用スキャンツールのソフト改修を行う。
ソフト改修の際、機工協はツールメーカーが申請した検査用スキャンツールのソフトの改修内容と、改修後も引き続きOBD検査に使用できるかを確認する。改修内容が型式認定試験に関わるものであれば、再試験を行う。
OBD検査システムやパソコンのOS(基本ソフト)などで大規模なアップデートが行われる場合、ツールメーカー側も相応のソフト改修が必要で、費用や開発工数の面で負担が大きい。また、頻繁に行われる特定DTCアプリの更新に対しても、ツールメーカーはソフト改修の申請を機工協に都度、行う必要がある。
こうした実情を踏まえ、同連絡会は関係団体・メーカーなどがシステムやソフトの改修に関する計画や内容を共有したり、円滑に対応できるようなルールの策定を検討する。検査用スキャンツールのソフト改修で「軽微」なものについては、機工協への申請が不要にできないかといった型式認定要領のあり方も議論する。また、ソフト改修を自動車整備事業者やユーザーにどう周知するかも協議する。
米国カリフォルニア州では、検査用スキャンツールを使って排出ガスに関するOBD検査を実施している。この中で、ツールメーカーは検査用スキャンツールのソフト改修後、OBD検査関連のシステムやアプリに対応できているかを自社で確認する仕組みがある。国交省は、こうした事例も参考にしながら、連絡会で検査用スキャンツールのソフト運用のあり方を検討していく考えだ。
※日刊自動車新聞2024年(令和6年)4月3日号より