道路舗装大手の日本道路が自動車関係企業からの受注拡大を目指している。世界中の路面を再現したり、先進運転支援システム(ADAS)の開発に用いる試験路の需要増を商機とみているからだ。太陽光パネルを埋め込んだ「太陽光発電舗装」など、次世代の舗装技術も積極的に開発する。このほど竣工した技術開発拠点、土浦テクノBASE(ベース、茨城県土浦市)も活用し、顧客の要望にきめ細かく応えていく考えだ。
同社は日本自動車研究所(JARI)のADAS試験場をはじめ、国内外のテストコースの舗装を手がけてきた。自動車やタイヤメーカーは世界中の路面を再現した試験路を持つが、同じ試験路でも顧客によって要求仕様が大きく異なるという。また、日本と海外では舗装に用いる砂利などが異なる。日本の原材料を使って海外の路面を正確に再現する技術も要る。CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の進展に伴い、試験路へ
の要求も多様かつ高度化しており、こうした要求に応えることで差別化を図る。
2022年度の工事受注額は1123億円。このうち6割以上を民間工事が占める。23年度も割合はほぼ変わらない見込み。このうち自動車関連企業からの受注は5%程度だが、売り込みを強化して10%へと伸ばしたい考えだ。期待するのは「土浦テクノBASE」。ここで舗装の過程から材質、工法までを紹介し、顧客と協議する場として活用していく。ショールームを使って技術を説明するほか、施工機械も敷地内で個別にカスタマイズしていく。商談から施工準備まで同一拠点で一貫して担うことで、対応スピードや柔軟性を高めていく。
次世代技術と位置付ける太陽光発電舗装は自動車メーカーの工場施設内への施工が決まった。各社の脱炭素化にも貢献する技術として今後も提案していく。高速道路をはじめとする公共工事でも、排水性と耐久性に優れた路面へと進化させることを目指し、研究を進めていく。
※日刊自動車新聞2024年(令和6年)4月4日号より