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自動車業界トピックス

道路や標識の管理・補修、デジタルで人海戦術にサヨナラ

損保や電機・部品メーカーも参入

道路補修を効率化する

デジタル技術を使って、道路や標識の補修を効率化する取り組みが広がる。車載カメラやセンサーで集めた映像を人工知能(AI)が判定する仕組み。大手損保や電機、自動車部品メーカーとプレーヤーも多彩だ。収集データや処理能力の進化とともに、道路管理の効率化が進みそうだ。

ジオテクノロジーズ(八剱洋一郎社長CEO、東京都文京区)は、開発拠点のある盛岡市で、AIを用いた道路管理の実証を実施し、成果を確かめた。同社の前身はパイオニアの地図子会社。デジタル地図制作のノウハウを生かし、走行調査とAI処理、道路網データを組み合わせ、従来は1年近くかかっていたところ、最短1カ月ほどで、「ポットホール」と呼ばれる路面の穴を特定できることを確かめた。今後、地域を拡大してサービス展開する。

アイシンの「みちろぐ2.0」

高速道路のポットホールについては、東芝と東芝デジタルソリューションズが路面変状検知AIを開発し、NEXCO中日本と実証を済ませた。高速道路各社のパトロール車両にカメラを組み込み、収集した画像を解析すれば、ほぼリアルタイムでポットホールを検出、通報できる。

アイシンも道路損傷箇所を素早く割り出し、地図上で損傷状況をタイムリーに〝見える化〟できる「みちろぐ2.0」を売り込む。カーナビ開発のノウハウを生かした。

ゼンリンデータコム(清水辰彦社長、東京都港区)は、ドライブレーダーの映像から、道路標識や照明、カーブミラーといった「道路付属物」を検出し、国土交通省準拠の点検表を自動作成するサービスを古河電気工業と開発した。

道路管理は従来、住民からの通報や定期パトロールなど、人海戦術に頼ってきた。ジオテクノロジーズが実証した盛岡市では、雪融け時期や降雨後に、道路にポットホールができる。市民への被害が多数出ており、市の悩みの一つでもある。また、市民の不満ランキングで、「穴ぼこ」「除雪」が上位に挙げられており、四半期ごとに20~30件、年間には約80件の補修が行われると推定されている。

路面の損傷状況が素早く、かつ広範囲に把握できれば、効率的な補修につながる。

各社は今後もサービスを拡充する計画だ。ジオテクノロジーズは、路面の損傷を予測するモデルを開発する。天候や気温、通行量、通行車両の種別、路面状態(亀裂、ひび)といったデータをきめ細かく分析することで、損傷が広がる前に補修できるようにする。

自動車保険に付帯するドライブレコーダーの映像をもとに道路管理サービスを提供する三井住友海上火災保険は、将来は道路以外のインフラにもサービス対象を広げる考えだ。少子高齢化や財源難で窮地にある道路などのインフラ管理をデジタル技術が補完する。

(山本 晃一)

※日刊自動車新聞2024年(令和6年)4月6日号より