ダイハツ工業は8日、今後の事業体制を発表した。国内外で展開する小型車の開発や認証業務をトヨタ自動車が担い、ダイハツが業務を受託する体制に切り替える。これに伴い、両社が運営する「新興国小型車カンパニー」を廃止する。星加宏昌副社長は「トヨタとの関係は変わろうとも仕事自体は変わらない」と語った。トヨタの中嶋裕樹副社長も「全面的にサポートしていく」とコメントした。

 8日に都内で開いた記者会見で、井上雅宏社長は「小型車の台数も仕向け地も広がってきたため、トヨタと従来以上に力を合わせる」と語り、トヨタとの連携をあらためて違う形で強化し、不正の再発防止を図る考えを示した。

17年に発足した新興国小型車カンパニーを廃止し、製品企画機能を「トヨタコンパクトカーカンパニー」に移す。海外モデルの開発を手がけるアジアの事業体制も見直す。「トヨタ・ダイハツ・エンジニアリング&マニュファクチャリング(TDEM)」などの2事業体はトヨタ・モーター・アジア(TMA)とし、トヨタのアジア本部傘下とする。小型車開発・認証の機能移管は、今後のモデル投入に合わせて順次、切り替える。認証をはじめ、開発の節目でトヨタの目を通す事業スキームとすることで不正を防ぐ。

ただ、実務自体はダイハツが従来通りに手がける。星加宏昌副社長は「軽を起点にした小型車の開発はわれわれの強みだ」と語った。

再発防止に向け、ダイハツ社内の組織体制も見直す。統括部長と副統括部長を廃止し、5階層あった上部組織を社長、副社長、本部長の3階層に簡素化する。認証業務の担当者も増やしており「(不正発覚前の)6倍ほどに増やした」(星加副社長)という。

井上社長は「軽はダイハツの源泉だ。良品廉価な手法を磨き、これまで通り、喜んでいただけるクルマづくりを極める」と述べ、軽に軸足を置く考えを改めて示した。遅れている軽商用EVの開発も再発防止策を徹底した上で進める。

ダイハツはまた、旧経営陣が23年度の賞与を返納したことも発表した。星加副社長や2月末に退任した奥平総一郎社長と松林淳会長は全額返納した。

トヨタの中嶋裕樹副社長は、記者会見後に東京本社で報道陣の取材に応じ「現場に主権を戻すための意思だと思う。トヨタも全面的にサポートしていく」と語った。

※日刊自動車新聞2024年(令和6年)4月9日号より