国土交通省は9日、自動車の型式指定申請における不正防止策を協議する検討会の初会合を省内で開いた。燃費不正など過去の事案と対策も踏まえつつ、不正をしない仕組みをいかにして構築するかを官民で協議する。自動車メーカーに対するヒアリングも実施する。今夏に一定の方向性を打ち出す。
検討会のメンバーは、国交省、自動車の認証審査を行う交通安全環境研究所、経済産業省製造産業局自動車課の関係者と外部有識者3人で構成する。日産自動車と三菱自動車の副社長などを歴任し、現在はタタ・グループの親会社、タタサンズの上級技術顧問を務める山下光彦氏が外部有識者の一人として参加している。
初会合では、国交省から近年の型式指定申請に関する不正事案と、型式指定制度や過去の不正事案に対する取り組みなどの説明があった。外部有識者からは「自動車メーカー自身が不正行為を根本から防止するための組織や体制を構築することが必要ではないか」「法令順守の徹底を図るには経営トップの姿勢とマネジメントが重要だ」などの意見が出た。
次回以降の検討会では、不正を起こした自動車メーカーから再発防止策の進ちょくなどを聞き取るほか、これまで不正問題が確認されていない自動車メーカーにも社内での取り組みなどを聞く。審査・監査や行政処分、罰則など国の制度や施策に関する議論も行う予定だ。
近年、日野自動車、豊田自動織機、ダイハツ工業の3社で型式指定申請における不正が相次ぎ発覚。国交省は、立ち入り検査で事実確認した不正行為を踏まえ、一部の車種やエンジンの「型式指定取り消し」や、再発防止策を求める「是正命令」を出した。
これらの行政処分は、過去の燃費不正や完成検査問題を受け、改正道路運送車両法に盛り込まれたもの。不正を行った自動車メーカーに対して極めて厳しい制裁効果を持つ措置だが、この約2年間で立て続けに発動された。
鶴田浩久物流・自動車局長は、行政処分や罰則などを強化してきたことに触れ「それでもなお不正行為が続けて起きていることを大変、重く受け止めている」と語った。
※日刊自動車新聞2024年(令和6年)4月10日号より