中部地区の自動車整備士養成施設で企業とコラボレーションした「オープンキャンパス」を行うケースが増えている。新車ディーラーのスタッフらが整備作業や仕事内容を説明することで、高校生らにメカニックの魅力を訴求するのが狙いだ。いずれも3月に実施し、通常の学校紹介だけに止まらず、卒業後の進路を具体的に考えやすくなる材料を提供する。今後、若年人口の減少傾向が加速する中で、中部の各校があの手この手の策を繰り広げて〝メカニックの卵〟確保に力を入れている。
中日本自動車短期大学(山田弘幸学長)のオープンキャンパスではホワイトハウス(木村文夫社長、名古屋市名東区)と名古屋スバル(太田士郎社長)が「企業講座」を実施し、企業説明や車載式故障診断装置(OBD)点検の実演などを行った。こうした試みは2021
年から展開しており、今後より多くの企業の参加を見込む。
中部国際自動車大学校(齋木裕司校長)は「スペシャルオープンキャンパス」と銘打って開催。協力企業による同乗走行体験を実施した。参加した岐阜トヨタ(加藤元康社長)、ホンダモビリティ中部(藤當雅之社長)、中古車販売大手のネクステージがそれぞれ、レクサス「LX」やトヨタ「GR86」など合計6車種を展示した。参加者は一部展示車の助手席で同乗体験を楽しんだ。
トヨタ名古屋自動車大学校(永田透校長)はさらに対象となる年齢層を広げ、小、中学生の参加を募った。クロスワードパズルを用意し学校内の施設を巡ることで、ゲーム感覚で同校を知ってもらう機会を創出した。同時に中部地区のトヨタ販売店やモータースポーツチームを運営するトムス(谷本勲社長)の協力でレース用の車両を展示した。これにより、就職
先以外に、子どもの憧れる職業としての整備士像づくりに役立てる。今後も同様の取り組みを定期的に企画する。
各社にとってオープンキャンパスに参画するメリットは大きい。参加者が高校生ら若年世代から自社との接点を持てるため、将来の入社者数の確保につながることもあり得る。入学資金の捻出に苦悩する層に向けては企業奨学金の存在もアピールできる。加えて、最新技術やスポーツカーの展示などを通じて在校生にもアピールできる。オープンキャンパスの中身をより魅力的にすることで、各専門学校とのパイプを太くする可能性も高い。それだけに、各校と販売店が手を取り合う事例は、今後も増えていきそうだ。
※日刊自動車新聞2024年(令和6年)4月23日号より