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自動車業界トピックス

乗用車メーカーの2023年度世界販売、コロナ前までもう一歩

HV人気が好材料

世界的にHV人気が高まりつつある

乗用車メーカー8社合計の2023年度の世界販売が5年ぶりに前年実績を上回った。コロナ禍で積み上がった受注残の解消が進んだためだ。コロナ禍前の18年度と比べても9割の水準まで回復した。ただ、個社ベースでは18年度実績をすでに上回ったトヨタ自動車から、未だ6割の水準にとどまる日産自動車までバラつきがある。今後の回復ペースが注目されそうだ。

23年度の世界販売は、認証不正で生産を長期停止したダイハツ工業、東南アジアの市場環境悪化の影響を受けた三菱自動車を除く6社が前年実績を上回った。生産はすでに回復基調だったが、23年度に販売もようやく前年プラスに転じた。ただ、コロナ禍と比較すると、18年度比で12.7%減、19年度比で5.9%減の水準だ。メーカー別で18年度を上回ったのはトヨタだけだ。

23年度入りした当初は、コロナ禍が本格化する前の19年度実績にまで回復するとの期待もあった。上場していないダイハツを除いた7社の23年度の期初計画の合計は2516万3千台。7社の19年度実績(2554万753台)比で1.5%減の水準で、市場環境次第では19年度を上回る可能性はあった。

目算が狂った大きな要因は中国市場の低迷だ。現地メーカーによる新エネルギー車(NEV)の投入拡大と中国景気の悪化で競争が激化。母国の過当競争を避け新天地を開拓しようと、中国勢が日本車のシェアが高い東南アジアに相次ぎ進出したことも販売の下振れ要因になった。この結果、期初計画値に対して8社の実績は4.7%少ない水準で着地した。

好材料もある。ハイブリッド車(HV)人気の高まりだ。1年前に過熱していた電気自動車(EV)需要は一服し、燃料高が続く中でコストと環境性能のバランスに優れるHVに需要がシフトした。パワートレイン別に通期の台数計画を公表するトヨタは、期初計画の349万7千台を上回る355万7609台のHVを販売した。

5年前には「1億台」という数字も見えていた世界の新車市場だが、コロナ禍や半導体不足が続いている間に競争環境は大きく様変わりした。供給力が回復しつつある今後は、本来の技術や商品力が問われることになる。

※日刊自動車新聞2024年(令和6年)4月26日号より