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自動車業界トピックス

トヨタ、一般整備工場を対象に認定制度

人手不足でディーラーだけでは限界

点検や修理の対応力が一段と重要になる(エーミング作業)

トヨタ自動車は、一般の整備工場を対象にした認定制度を9月にもスタートさせる。「メンテナンスパック」の普及や人手不足などで系列販売会社の整備受け入れ能力が限界に近づきつつあるほか、SDV(ソフトウエア・デファインド・ビークル)化などをにらみ、重要性が増す点検や修理を確実にこなしていくためだ。まずはリース車両を認定工場へ入庫させるよう販社に促す。販社が整備や板金塗装を地域の整備工場に下請けに出すケースはあるが、トヨタが一般の整備工場を直接、認定する制度は初めて。

技術力や顧客対応力のほか、過去の行政処分歴や反社会的勢力と付き合いがないかといったコンプライアンス(法令順守)状況などを確認し、一定基準を満たす整備工場を認定する。認定数の目安は明らかにしていない。主に新車ディーラーが運営する全国のトヨタレンタリース店で販売したリース車両からまずは入庫を促す。

トヨタの系列ディーラーはこれまで、アフターサービスを中心としたバリューチェーンの強化を進め、整備入庫率を高めてきた。ただ、好調な新車販売に加え、一定期間の点検整備料金を顧客が前払いするメンテナンスパックが普及して入庫が増え、人手不足やリコール(回収・無償修理)対応などが工場の混雑に拍車をかけている。一部の系列整備工場では、予約のない入庫に対応できないケースも出始めた。

また今後は、電動化やSDVなど車両の高度化に伴い、点検や修理の対応力が一段と重要になる。複雑化する点検や整備を確実にこなし、衝突被害軽減ブレーキなどのエーミング(機能調整)やOTA(無線更新技術)に伴う部品の増設など、新たな整備手法に対応することも求められる。対応を誤れば逆に顧客満足度を下げかねない。

このため、一定の水準を満たす一般の整備工場の協力を得て、アフターサービスを充実させていくことにした。認定工場とはエーミングなど新技術に関する整備情報の共有を想定するなど、長期的な関係を築きたい考えだ。

※日刊自動車新聞2024年(令和6年)5月16日号より