ホンダは16日、2021~30年度の10年間で電動化やソフトウエア領域への成長投資(研究開発及び設備投資)に10兆円を投じると発表した。22年4月には同じ領域に5兆円を投じる方針を公表済みだが、電池の内製化費用やソフトの開発費用を積み増す。ハイブリッド車(HV)で稼いだ利益を再投資し、先行する電気自動車(EV)メーカーの追撃にかかる。
電池の内製化や生産技術の革新などに投資し、商品価値と収益性を高めたEVの展開を26年度以降に本格化する。30年度目標に掲げるEV事業営業利益率5%の達成につなげる。
10兆円の内訳は、ソフトウエア領域の研究開発に2兆円、北米や日本などでの電池の調達や出資に約2兆円、次世代EVの専用工場を含む生産領域や機種開発などの開発と設備投資にそれぞれ3兆円ずつ。HV市場の拡大による〝稼ぐ力〟が高まっていることも背景に大規模な追加投資に踏み切る。
カナダなどで進める電池の内製化によって北米で調達する電池コストを30年に現行比20%削減するほか、生産コストも同35%減らす。今後、一体成型鋳造技術「メガキャスト」を電池パックに適用するなど新しい生産技術を展開。世界で200万台のEVを生産できる体制を構築し、EVで稼ぐ事業構造への変革を目指す。
足元で踊り場感もみられるEV市場だが、燃費規制を満たしたり、50年にカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)を達成するためにEVの普及が欠かせない。三部敏宏社長は「長期的な視点ではEVが進んでいくと確信している。足元の変化にとらわれることなく、強いEVブランド強い事業を構築していく。これこそが私のミッションだ」と語った。
※日刊自動車新聞2024年(令和6年)5月17日号より