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自動車業界トピックス

自動車メーカーなどが所属の自動車・蓄電池トレーサビリティ推進センター

電池製造時のCO2把握へ

欧州電池規則への対応を皮切りに、政府の産業データ基盤で国際競争力の強化を目指す(車載電池)

自動車・蓄電池トレーサビリティ推進センター(ABtC、藤原輝嘉代表理事、東京都港区)は、車載電池の製造過程で出る二酸化炭素(CO)量などを把握する「トレーサビリティサービス」を始めた。CO排出量の開示を求める欧州規則への対応も想定し、参画企業を募る。各社の機密は守りつつ、データをつなげて煩雑な規則に対応し、最終的には産業競争力の強化にもつなげたい考えだ。

欧州の電池規則は、電池の原材料調達から廃棄、リサイクルまでのライフサイクル全体のCO排出量を開示するように取り決めている。当初予定から遅れているが、2025年後半には対応が必要とみられる。

参画企業が生産から廃棄までに出るCOをプラットフォームに入力し、製品単位のCO排出量を割り出す。データの所有者がデータの交換先や内容を管理できる「データ主権」を確保してリスクに備えた。ブロックチェーン(分散型台帳)技術や暗号化技術も用いて改ざんや外部からの攻撃に備える。

ABtCは、トヨタ自動車など日本の自動車メーカー14社のほか、日本自動車部品工業会(有馬浩二会長、東京都港区)、電池サプライチェーン協議会(只信一生会長、東京都中央区)などが会員として名を連ねる一般社団法人。システム設計はNTTデータが担った。今年実施した実証では約60社が参加した。運営費用は会員で賄い、データ利用量に応じて収益を得ることを想定している。

今後は、独自動車業界によるデータ連携基盤「カテナ―X」との接続を目指すほか、サプライチェーン(供給網)全体でデータを連携させることで自動車1台分のライフサイクルでのCOを算出したり、在庫管理や品質改善に用いたりしていく考えだ。

ABtCのCOトレーサビリティサービスは、政府が整備を進める産業データ基盤「ウラノス・エコシステム」の第1号事例だ。

経済産業省の須賀千鶴情報経済課長は「官民で知恵を寄せ合い、設計段階から一緒にやってきた。上手くいくよう主体性を持って関与する」と話し、ABtCを国内初の「公益デジタルプラットフォーマー」として認定する方針も明らかにした。

※日刊自動車新聞2024年(令和6年)5月20日号より