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自動車業界トピックス

政府の「モビリティDX戦略案」、SDVなど3領域 世界シェア3割目標に

自動運転の実証も加速させていく

自動車産業の競争力強化に向け、経済産業省と国土交通省は「モビリティDX(デジタル・トランスフォーメーション)戦略案」をまとめた。電動化や自動運転の進展で市場拡大が見込まれる「SDV(ソフトウエア・デファインド・ビークル)」の世界市場において、日本勢としてシェア3割を目指す。政府は、関連技術のメーカー協調領域を今秋をめどに整理し、連携を促す官民組織も設ける。

20日に経産省で開いたモビリティDX検討会で発表した。DXを軸とした自動車産業の成長戦略を策定するのは今回が初めて。①SDV②自動運転・MaaS(サービスとしてのモビリティ)技術によるモビリティサービス③データ利活用―の3領域で、目標と取り組みのロードマップ(行程表)を策定した。

SDV領域では、電気自動車(EV)だけでなく、内燃機関車を含めたすべてのパワートレインでSDV化を進めていく。複数の市場やユーザーに対応できる機能・価格の幅を持たせた「多様なSDV」を日本の強みにしてシェア拡大を目指す。競争力あるSDVの開発に必要な半導体、LiDAR(ライダー、レーザースキャナー)、高精度3次元地図などの技術開発においては、企業間の連携を促す基盤を整備するなどして、新たな機能やサービスの早期実用化につなげていく。

異なるアプリケーションやソフトウエア同士が情報をやり取りする際に用いるソフト「API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)」の標準化に向けて課題を洗い出し、今夏までに結論を出す。APIの標準化により、自動車メーカーと異業種が連携したサービスの提供が容易となり、利便性の向上が期待できる。

自動運転技術などを活用したモビリティサービス領域では、高速道路での自動運転トラックの実証を進めるに当たり、荷物の集約拠点間での荷下ろし・積み込みと運搬を担う共同運行会社の枠組みづくりを検討する。具体的な内容は今後詰める。

27年度までに自動運転の実証を全国100カ所以上で実施するなど、政府で公表済みの取り組みを加速させ、物流問題や〝移動の足〟不足などといった社会課題の解決と新規事業の確立につなげる。

データの利活用では、政府が基盤整備を進める「ウラノスエコシステム」における自動車サプライチェーン(供給網)データ連携基盤の構築に向け、自動車のLCA(ライフサイクルアセスメント)ベースの二酸化炭素(CO)算出に取り組み、25年度以降の実装を目指す。物流・運行システムの効率化・共通化や、半導体などの重要部品のサプライチェーン把握などについても、具体化に向けて検討を進める。

※日刊自動車新聞2024年(令和6年)5月22日号より