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自動車業界トピックス

日本版ライドシェア、斉藤鉄夫国交相と河野太郎デジタル相の意見一致せず

国交相「導入しないで済むならば…」

河野デジタル相との意見交換後、記者団の取材に応えた斉藤国交相

4月から東京都や京都市など一部地域で始まった「自家用車活用事業(日本版ライドシェア)」をめぐり、斉藤鉄夫国土交通相は27日、規制改革を担当する河野太郎デジタル相と意見交換を行った。タクシー事業者以外の参入を認めるなど、いわゆる「ライドシェア」の全面解禁に向けた法制度の検討を進めることについて、前向きな河野デジタル相に対し、斉藤国交相は改めて反対の意向を伝えたという。

デジタル庁での意見交換後、斉藤国交相が記者団の取材に応じた。斉藤国交相は、プラットフォーム企業などタクシー事業者以外によるライドシェアを導入すると「何十年もかけて培ってきた公共交通の適正な事業運営や、運転者の労働環境に大きな影響が生じるので、導入しないで済むことがベストであると申し上げた」と語った。

また、「新たな法制度を検討することは、4月から始まった自家用車活用事業に対するタクシー事業者や自治体の積極的な取り組みを足止めすることになるとの声もあり、現場を混乱させてしまう」とも伝えたという。

国交省としては「自家用車活用事業などの効果検証に十分な時間をかけることが必要」との立場だ。利用者目線に立った見直しを随時、実施しながら全国への普及を進めていきたい考えだ。公共交通の担い手と〝移動の足〟の不足を現在の施策で解消できるのであれば「新たな法制度の議論は必要ない」とする。

効果検証の結果、仮に移動の足不足対策として十分でないことが明らかになった場合は「他の交通モードを含む総合的な交通政策の観点からタクシー事業制度や自家用車活用事業の見直しが必要なのか、議論を行うべき」との考えだ。

斉藤国交相によると、河野デジタル相からは、効果検証と並行して「法制度の検討を進めるべき」との発言があったという。

政府はこれまで、地域公共交通の担い手と移動の足の不足を解消するための議論をデジタル行財政改革会議などで行ってきた。国交省では、タクシー事業の規制緩和をはじめ、タクシー事業者のもとで自家用車や一般ドライバーを使って有償運送サービスを行える自家用車活用事業を創設した。自家用有償旅客運送制度の大幅見直しも行った。

今回の意見交換では、意見の一致を得られなかったが、今後も話し合いを続ける。一方で、自家用車活用事業の拡充や自動運転の社会実装の加速化を進めることについては意見が一致したという。

※日刊自動車新聞2024年(令和6年)5月29日号より