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自動車業界トピックス

トヨタ・マツダディーラーに認証不正の影響

顧客対応を急ぎつなぎ留め

ヤリスクロス

現行生産車で認証不正が発覚したトヨタ自動車とマツダの系列ディーラーで、今後の影響を懸念する声が広がっている。トヨタは3車種、マツダでは2車種が出荷・販売停止となった。特に、対象に人気モデルを抱えるトヨタ系の販売会社では「今のところ生産再開を見通せず、納期がさらに長くなるのでは」とため息をつく。一部のマツダ販社では、販促活動を見直すところも出ている。トヨタとマツダは4日までに、全国の販社に書面で現状を報告したとみられるが、詳しい説明はまだ。こうした中でも、販売現場は顧客対応を急ぎ、ユーザーのつなぎ留めに全力を挙げている。

ロードスターRF

トヨタでは小型SUVの「ヤリスクロス」と、ロングセラー車の「カローラフィールダー」「カローラアクシオ」が出荷・販売停止となった。目下大きな影響を受けそうなのが、ヤリスクロスだ。あるトヨタ販社の役員は、「人気が高く受注残も多いが、受け皿となる車種もない」と肩を落とす。「ヤリス」シリーズ全体の国内販売台数は2023年度、前年比4.8%増の18万3738台で登録車としてトップだった。このうち、半数以上の9万7771台がヤリスクロスだった。ディーラー各社にとって重要な稼ぎ頭であり、出荷再開が長引けば24年度の経営戦略にも響く可能性がある。

マツダでは、スポーツカーの「ロードスターRF」とコンパクト車の「マツダ2」の出荷を停止した。あるマツダディーラーの代表は「売れ筋はSUVのため、販売に与える影響は大きくない」としている。ただ、ロードスターはマツダ車のブランドイメージのけん引役となっており、根強い人気がある。ある販社でも「ロードスターRFは長納期になっている」とし、「今回の措置によって、さらにお客さまにお待ちいただくことになる」とため息をつく。

さらに西日本のマツダ販社では、「出荷停止した車種の販売施策は取り下げることになりそうだ」と明かす。また、「イベントも予定していたが、自粛の方向で進めている」とし、各社の営業戦略にも波及しつつある。

現状、両陣営は「メーカーから受注停止の規模感や納期について詳細な説明を待っている」(トヨタ系)段階だ。この中で「お客さまにお詫びしつつ理解してもらえるように説明していく」(同)と、当面は受注済み顧客への確認や連絡など販社にできる対応に力を入れていくとみられる。

※日刊自動車新聞2024年(令和6年)6月5日号より