国土交通省は、自動車メーカーなど85社に指示していた型式指定申請に関する社内調査の結果を7月中旬にも公表する方針を明らかにした。立ち入り検査の結果も踏まえ、行政処分の検討に入る。一方でトヨタ自動車とマツダ、ヤマハ発動機に3日付で出荷停止を指示した現行生産車、合わせて6車種に対する保安基準適合確認試験は地域経済などへの影響を考慮して速やかに済ませる方針だが、今月中は難しく、一部は7月にずれ込みそうという。
国交省は、型式指定申請における不正行為の有無などに関する調査報告の結果を公表した。5月末時点で85社中、68社が調査を終え、マツダ、ヤマハ発、ホンダ、スズキと調査継続中のトヨタから現行生産車や過去の生産車で不正行為が判明したとの報告があった。
国交省は、調査中の17社に速やかな報告提出を求めつつ、提出された調査報告書の精査を進めている。また、不正行為を報告した自動車メーカー5社に対しては、道路運送車両法に基づく立ち入り検査を4日から順次、実施している。検査結果も踏まえながら、全85社の調査結果を7月中旬にも公表する。
不正行為があった38車種(過去生産車を含む)に対する確認試験も順次、進めるが、試験を全て終えるのは7月になる見通し。立ち合い試験に必要な人員や設備、試験車両の確保といった準備が要るほか、ダイハツ工業で不正行為が確認された過去生産の18車種中、7車種の確認試験が残っているためだ。
ただ、現行生産車の生産・出荷停止が長引くと地域経済への影響が広がる。斉藤鉄夫国交相は「国民の安全・安心の確保を大前提として厳正に対処していくことはもちろんだが、経済への影響を最小限に抑える観点からも国交省として努めていきたい」としており、トヨタ「ヤリスクロス」やマツダ「マツダ2」といった現行生産車の確認試験を優先させる考えだ。
※日刊自動車新聞2024年(令和6年)6月7日号より