経済産業省と国土交通省が事務局を務める「空の移動革命に向けた官民協議会」は16日、2020年代の“空飛ぶクルマ”の実用化に向けて、ロードマップの素案をまとめた。2019年には試験飛行や実証実験を開始。20年代初めに貨物輸送、20年代後半に人の移動サービスで実用化を目指す。正式なロードマップは年内にまとめる。
都内で同日開いた「第3回協議会」では学識者や開発関連の事業者らが、空飛ぶクルマの技術的要件や飛行方式、インフラ、制度・規制のあり方などについて議論を交わした。
素案では、制度や体制の「整備ステップ」、機体や技術の「開発ステップ」などのプロセスを設定した。実用化は、ドローンを発展させた機体による貨物輸送から着手する。20年代には「娯楽としての飛行」や「地方での人の移動」、さらに「都市での人の移動」も順次実用化。30年代にこれらのサービスが出揃うという道筋を描いた。
ただ、制度整備や国際的な議論を踏まえた基準策定、社会的な受容性の確保など、課題が多い。協議会では「そもそも、空飛ぶクルマの必然性を丁寧に定義すべき」、「どういうサービスや用途、仕様、インフラが必要かなどが曖昧で、国民的な議論が不可欠」など、幅広い周知が不可欠という声があがった。
さらに「通信を使った安全性確保が必要」、「陸海空のクロスモビリティといった観点からの議論も必要」という意見も出た。
事務局では12月下旬に開く「第4回協議会」までに、これらを反映したロードマップ案をまとめ、空飛ぶ車の実現に向けたステップを踏み出す考え。また、事務局は東京都と福島県、三重県、大阪府・大阪市から、実証実験場所を提供に関する提案があったことを明らかにした。
※日刊自動車新聞2018年(平成30年)11月19日号より