新車ディーラーの総整備売上高が一般の整備工場を初めて上回った。日本自動車整備振興会連合会(日整連)の調査によると、2018年度(6月直近の決算期分)はディーラーが前年比3.0%増の2兆6927億円だったのに対し、専・兼業は同1.8%減の2兆6077億円だった。これによりシェアはディーラーが48.7%、専・兼業が47.2%となり逆転。5年前と比較するとディーラーは2.4ポイント伸びる一方、専・兼業は2.1ポイント減少した。緊急自動ブレーキなどの新技術やメンテナンスパックの普及などがディーラーへの入庫につながっているようだ。
ディーラーの整備売上高が専・兼業を上回った背景には新技術への対応力に加え、新車需要が伸び悩む中、ディーラー側がサービスや中古車、保険といったバリューチェーンを強化し、顧客の囲い込みに力を入れている点が挙げられる。ディーラー各社は新車販売時にメンテナンスパックを推奨し、初回、または2回目車検までの点検・整備需要を確保している。リコール(回収・無償修理)の影響もあると見られる。
整備要員一人当たりの年間整備売上高もディーラーだけが伸びている。18年度はディーラーが同0.6%増の2321万円だったのに対し、専・兼業は同1.5%減の986万円だった。
今後もディーラーの総整備売上高は伸びていく可能性が高い。メーカー主導でテレマティクス技術を使った顧客囲い込み策を一段と強化する方針だからだ。
トヨタ自動車が昨年6月に発売した新型「クラウン」「カローラスポーツ」から初めたコネクテッドサービスはその一環。新型車では車両制御ネットワーク(CAN)に接続する車載通信機「DCM」を標準装備とし、車両状態を常時監視する。異常が検知されると遠隔診断を行い、トラブルが発生する前に系列販売店への入庫を促す。
トヨタはコネクテッドサービスについて「クルマ、メーカー、販売店を一本の流れでつなぐもの」(友山茂樹副社長)と位置づける。この効果は整備分野でも大きいと見られ、整備市場でディーラーの存在感がますます高まる可能性がある。
※日刊自動車新聞2019年(平成31年)2月19日号より