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自動車業界トピックス

ホンダ、世界生産を日中米に集中

英・トルコ撤退、電動化見据え最適化

ホンダは四輪車の世界生産体制を見直し、地域ごとの需給ギャップを解消する。21年に英国とトルコで完成車の生産を終了、国内では埼玉製作所狭山工場(埼玉県狭山市)の生産を寄居工場(埼玉県寄居町)に集約し、21年末に世界生産能力を現状の年間540万台から30万台減の510万台に削減する。一方で、中国では今年、新工場の稼働を予定するなど、販売拡大を見込む地域では能力を増強する。さらに今後販売を拡大する電動車は、これまでと異なる生産ノウハウが要求される。生産量が見込める日本や中国、米国で集中的に生産し競争力を高める。

会見するホンダの八郷社長

「電動化の加速を見据えて、グローバルでの生産配置と生産能力の適正化を進める」―。八郷隆弘社長は、生産体制の変更理由をこう語る。「シビックハッチバック」を生産する英国工場は、完成車の仕向地別で英国向けが15%、EU(欧州連合)域内向けが20%にとどまり、北米向けが55%と最大を占めていた。これに対し「シビックセダン」を生産するトルコ工場は、トルコ国内向けが63%、EU域内と中東アフリカ向けが37%と地産地消の拠点だったが、生産能力5万台に対し、18年実績は3万8318台で低水準にとどまった。需要が見込める地域で生産するという基本方針からは2拠点とも外れていた。
さらに欧州では、環境規制の強化によってディーゼル車に対する逆風が吹いている。「欧州各国は電動化を非常に積極的に採り入れようとしている」(八郷社長)。ホンダは2030年に世界四輪車販売のうち3分の2を電動車にする目標を掲げるが、欧州では一足早く25年に3分の2の販売を電動車にする計画。一方で、英国とトルコ工場では追加投資しても、電動車の生産で競争力を確保できないと判断し、生産を終了する。
電動車生産は、まず日本の寄居工場(埼玉県寄居町)で技術を蓄積する。その後、米国や中国にノウハウを水平展開する。欧州向けの電動車は、電動車の最大市場になる中国と商品ラインアップを共有するとともに、生産ボリュームが見込め競争力の高い中国拠点から輸出する。中国では合弁会社の東風本田汽車(湖北省武漢市)の第3工場が今年稼働する予定で、生産能力を12万台増やす計画。
ホンダは四輪車の収益性向上が課題となっている。現時点での世界生産能力540万台に対し、18年暦年の稼働率は97%にとどまった。21年に英国、トルコ工場での生産能力を計20万台削減。これに加えて、同年をめどに狭山工場の生産を寄居工場に集約し、国内の生産能力を25万台削減する。中国での能力増強を含めて、21年末に約510万台にし「稼働率100%超えを予定する」(同)。
かつて世界販売600万台を目指し、生産能力を拡大してきたホンダ。環境規制の強化やCASE(コネクテッド・自動化・シェアリング・電動化)で市場に大きな変化も現れる中、改めて需給ギャップの解消を進め、将来の成長基盤を固める。

※日刊自動車新聞2019年(平成31年)2月21日号より