国土交通省は2019年度に、自動運転車でのドライバーとシステム間の運転移行に関する安全基準を策定する。国として20年に高速道路で自動運転レベル3の実現を目指す中、まずは、人と車のつなぎ役であるヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)の技術要件を検討する。具体的には、システムからドライバーへ運転の主導権を移す時に何秒前から警告するかなどを明確にする。安全基準の指標を示すことで、サプライヤーなどが技術開発をしやすい環境を整える。
ドライバーとシステムの運転移行は、自動運転の安全性を確保する上で重要なテーマ。たとえば人の判断と操作で緊急回避の必要が生じた場合に、主導権をシステムからドライバーにいかにスムーズに切り替えるかといった問題がある。
国交省は18年9月に、自動運転車の安全性に対する考え方などを示したガイドラインを公表した。自動運転の作動条件やHMIに求める機能などを記しているが、任意のものであり、将来的な国際基準などを満たすかどうか不透明な部分もある。
国交省は、自動運転の実現に向けた安全基準の整備に向けて、19年度予算として2億8800万円を設定した。車両安全対策検討会内で、自動運転を扱うワーキンググループ(WG)が中心となって進め、19年度内にも基準に関する成果をまとめる。自動車基準調和世界フォーラム(WP29)への基準案の提案や将来的には国内基準への適用を視野に入れる。
柱となるのがHMIの技術要求とハッキング対策のサイバーセキュリティだ。例えば、高速道路の出口付近でシステムから運転者への運転権限のスムーズな移行が求められる。独立行政法人・自動車技術総合機構の交通安全環境研究所のドライビングシミュレーターなどを活用しながら、運転移行の何秒前からドライバーに知らせるか妥当な時間を探る。サイバーセキュリティに関しては、ハッキングされた時に安全に車を停止できる制御対策などを考える。
※日刊自動車新聞2019年(平成31年)2月22日号より