岡山トヨペット(末長一範社長、岡山市南区)は25日、国内新車ディーラーとして初めて個人間カーシェアリング仲介サービスに参入すると発表した。サービスの名称は「idocari(イドカリ)」。社員らが貸し手となるトライアルを26日に始め、10月1日をめどにユーザー間のサービスを開始する。初年度は1千件のマッチングを目指す。伝統的な販売・整備に強みを持つトヨタ販売店にも、新たなサービスを模索する動きが広がってきた。
同サービスは、自家用車を使用しない時に貸したいオーナーと、必要な時に用途に応じて使いたいユーザーとのマッチングを専用システムを通じて行う。オーナーは貸し出しで利用料金を得られ、ユーザーは、用途に応じてさまざまな車種を選択できる。
25日、本社で会見した末長社長は「ユーザーが生涯に乗れる車は7台程度。新サービスを通じて、さまざまな車に乗ることで顧客に車の楽しさを味わってもらうと同時に、本当に欲しいと思う1台を提案したい」と新サービスの狙いを語った。
シェア料金はオーナーが設定する。マッチング手数料は、オーナーがシェア料金の10~20%を同社に支払う仕組み。
自動車ユーザーに多様な車を利用することで車の楽しさを再認識してもらい、車の所有欲の醸成を図る。また、遊休資産となっている自家用車の活用について提案することで、新車・中古車購入客へのサービスや市場ニーズの把握につなげる。地方都市における新ビジネスモデルの構築を目指す。
本格導入前に26日から岡山市内中心部でトライアルを開始する。期間中は、同社の従業員、関係者がオーナーとなり、ユーザーにシェアする形をとる。専用ホームページ(https://idocari.com)からシェア可能な車種・時間をユーザーが選択する。期間中にさまざまな利用者からの意見を吸い上げて本格運用に生かしていく方針。当面は、利用者を増やすために同社の約8万人の顧客に利活用のための案内をして加入者を増やす意向だ。
将来的には、同サービスを活用した顧客が新車を購入する際に、残価クレジットローンに同サービスを組み込んだ提案をすることで、月々の支払い額負担軽減につなげることで、若年層が車を買いやすい環境を創出したいとしている。
また、トライアル期間中は東京海上日動の「ちょいのり保険(1日自動車保険)」に同社負担で加入でき、マッチング手数料も無料となる。サービス開始後は、同保険にユーザーが契約することが条件となり、保険料はユーザーの負担となる。
※日刊自動車新聞2019年(平成31年)2月26日号より