自動車ディーラーと、専業・兼業事業場の自動車整備士の年収差が、初めて年間100万円を超えたことが明らかになった。業界団体が実施した2018年度の調査によると、18年6月末時点の調査で平均年収額はディーラーが前年比2.0%増の466万1千円、専業・兼業が同0.3%増の358万2千円となり、自動車ディーラーが109万9千円上回った。整備業界はメカニック不足に直面しており、今後も人材確保を背景にした賃金の上昇局面は続く見通し。こうした中、専・兼事業場では人材確保に向けた賃金格差の解消が、重要な経営課題となる。
日本自動車整備振興会連合会(日整連、竹林武一会長)が18年度「自動車分解整備業実態調査(概要)」で明らかにした。今月発行予定の「平成30年度版自動車整備白書」で詳細公表を予定する。
これらによると、整備要員1人当たりの年間平均給与は、前年調査に対し3万6千円増の391万1千円だった。近年は上昇局面が続いており、ディーラーは前年対比で1.5~2%増、兼・専業は0.5~0.9%増で推移してきた。
一方、顕著になっているのが両者の給与格差だ。13年は約76万円だったが、この5年で格差が一段と広がり、最新の調査では100万円を超えた。人材不足の解消や待遇改善を目的にした給与改善の取り組みで、ディーラーが専業・兼業よりも先行している様子があらためて浮かび上がった。
全体平均額との差を比べると、ディーラーは平均額を上回る状況が続く一方、兼・専業はマイナス傾向。18年6月末調査では全体平均年収(391万1千円)に対し、ディーラーは75万円上回り、兼・専業は32万9千円下回った。 こうした数字にも、ディーラーと専業・兼業の賃上げペースの格差が示された。整備士1人当たりの年間整備売上高は、ディーラーは例年2~3%の上振れ、兼・専業は1~2%の下振れという基調にある。つまり、兼・専業は売上高が減少する中での人件費増加という状況に陥っており、今後もこの傾向が続くと経営に対する圧迫が懸念されかねない。
ただ、ディーラーの方が給与面で優位性にあるとはいっても、整備士を含むディーラーの給与水準自体は、決して高いものではない。「メカニック不足というが、給料を上げることができれば確保できることも事実」(千葉県の車体整備工場社長)と指摘する声もあり、整備業界全体で賃上げをはじめとした待遇改善が求められるところだ。
※日刊自動車新聞2019年(平成31年)3月19日号より