2013年度以降の総整備売上高の推移ををみると13、14年度に東日本大震災の復興需要によって増加し、15、16年度には落ち込んだ後、17年度から再び増加に転じている。18年度の総整備売上高は5兆5295億円で、前年度比0.8%増と微増。ただ、業態別ではディーラーが2兆6927億円、同3.0%増と伸びたのに対して、専・兼業が2兆6077億円、同1.8%減とマイナスで、明暗が分かれた。ディーラーの売上高が専・兼業を上回ったのは10年度以来、8年ぶりだ。 整備白書では整備需要全体の増加要因について「景気が好調基調にあった中でユーザーの消費意欲が喚起された」「定期点検整備の需要が増加したほか、整備入庫時の付帯サービスやその他整備需要が増加した」ことなどを挙げる。年度ごとに需要は増減しても、中・長期的な視点でみると1995年度以降、需要全体は減少基調で推移しており、18年度に2年連続でプラスとなったからといって手放しでは喜べない状況だ。
18年度の総売上高を作業内容別にみると、事故整備以外の車検整備、定期点検整備、その他整備の売上高がそれぞれ前年度実績を上回った。車検整備の売上高は2兆2007億円、同1.3%増だった。継続検査台数は減少したものの、オイル交換などの付帯サービスの整備需要が増え、車検の平均単価引き上げにつながった模様だ。
2年車検の売上高は1兆6312億円、1年車検が5695億円。ディーラーは両方とも増加したが、専・兼業は減少した。ディーラーは、メンテナンスパックの拡販や新技術搭載車の入庫獲得を強化してきたことが成果につながったようだ。
定期点検の売上高は3650億円で、同0.8%増だった。詳細をみると、1年点検は2599億円、6カ月点検が498億円。3カ月点検が同8.4%減の553億円だった。
6カ月点検は、ディーラーが同23.8%増、専・兼業が同12.8%増と、いずれも順調だった。これは訪日外国人旅行者の増加などでレンタカーの登録・届け出台数が増えて、入庫台数を押し上げたためと見られる。
定期点検の売上高では、ディーラーが前年度と比べてプラス、専・兼業がマイナスだった。白書では「専・兼業は17年度の増加幅が大きかったため、今年度は相対的に減少したが、近年は両業態ともに増加基調になる」と予想する。
臨時整備、一般整備、部用品の取り付けなどを含む「その他整備」の売上高は同2.9%増の1兆8855億円だった。業態別ではディーラーが同5.2%増の1兆368億円で、専・兼業が同0.3%減の7795億円。ここでもディーラーが、メンテナンスパックなどでユーザーとの接触機会を増やすとともに、タブレットなどの販促ツールを活用した提案営業などによって入庫を獲得した様子。また、直近7年間の平均入庫台数は専・兼業でも同1.1%増とプラスで、入庫促進が進んだことが示された。
ドライブレコーダーの取り付けなど平均単価を引き上げる作業が増え、比較的、単価の低いリコール対応の入庫台数が減ったことも、単価上昇に寄与したようだ。
※日刊自動車新聞2019年(平成31年)4月18日号より