整備業は高齢化による退職者の増加や就職を希望する若年層の減少にともない、人材不足が進んでいる。2011年度に0.68倍だった平均有効求人倍率が、16年度には3.73倍と5倍以上に上昇したことにも、その厳しい状況が浮かび上がった。
18年度の整備要員数は全体で39万9374人となり、前年比343人減(0.1%減)と4年連続で減少した。業態別にみると、専・兼業が同730人減(0.3%減)の26万4310人で7年連続の減少。一方ディーラーは同502人増(0.4%増)の11万5999人で2年ぶりに増加に転じた。
18年度の平均給与は同0.9%増の391万1千円で6年連続で上昇した。このうちディーラーは同2.0%増の466万1千円、専・兼業は0.3%増の358万2千円だった。白書では「深刻な人手不足を解消するために、給与水準を上げることで整備要員の待遇改善を進めている」ことや「ディーラー1人当たりの年間売上高が増加した」ことが上昇要因になったと推測した。
整備業全体の平均年齢は同0.3歳上昇し45.3歳となった。ディーラーでは35.3歳だが、専・兼業は49.7歳で両者の差は14.4歳だった。
また、有資格の整備士数は全体が2078人増(0.6%増)の33万8438人で、2年連続の増加。業態別では、専・兼業が2231人増(1.1%)の21万3786人、ディーラーが84人減(0.1%減)の10万9301人。白書では、整備要員が減少した一方で、整備士が増えた背景には「普通高校の卒業者など整備士資格を持たない若者まで採用の間口を広げている」ことなどがあるとみている。
ただ、全体の整備士数を15年度と比較すると1561人減少。さらに、18年度の自動車大学校・整備専門学校の入学者数は、定員1万2674人に対し8124人と定員を下回り、減少傾向が続いた。これらを踏まえると、整備士不足が一層、進んだことは明らかだ。
人材不足の続く整備業界が、新たな労働力として活用に力を入れるのが女性と外国人だ。18年度の女性整備士数は前年比2.8%減の1万605人だった。09年度は1万2428人だったので、この10年で15%ほど減少した。ディーラーでは登用が活発になっている半面、専・兼業では減少傾向にある。
政府は女性の2級整備士を2020年度までに09年度の約2倍にあたる4800人に増やすという目標値を掲げている。今後どのような取り組みで目標を達成するかが注目される。
また、外国人においては、自動車大学校・整備専門学校に進学する留学生が年々増えている。一部の学校では外国人に特化したクラスを設けるなどの動きがみられる。
さらに「外国人技能実習制度」に加え、今年度から「特定技能1号」による受け入れが開始。今後も外国人が働きやすい職場環境の整備、積極的な教育、資格取得の促進が人材不足の解決に加え、生産性向上においても重要なテーマになる。
※日刊自動車新聞2019年(平成31年)4月20日号より