改正道路運送車両法が4月に施行され、特定整備制度が始まる。新たな認証資格「電子制御装置整備」の取得が可能になり、国は法施行と同時に認証が取得できるよう、早ければ2月にも整備主任者の資格要件を満たすための講習を始める計画だ。業界内では法施行後すぐに認証取得に動き、経過措置を利用した体制構築に着手する事業者がいれば、様子見を続ける事業者もいると見られる。法施行まで3カ月あまり。4月までに先進運転支援システムの校正作業(エーミング、キャリブレーション)を実施しているか否かで、4月以降の事業活動に大きな差が出てくることになる。 その理由は、国土交通省の自動車整備技術の高度化検討会がまとめた「特定整備制度の方向性―中間とりまとめ」(最終)の中で、準備期間として設けられる4年間の経過措置について「改正法の施行の際に行っていた作業の範囲に限り、経過措置を認めることが望ましい」と規定されたからだ。
つまり、法施行前にエーミングを行わずフロントバンパーやグリルを脱着していた事業者は当該作業のみ、エーミングまで行っている事業者はエーミングも含めた作業が経過措置として認められる。
言い換えれば、前者のケースに該当する事業者が4月以降にエーミングを行う場合には、新たに電子制御装置整備認証を取得しなければならない。認証取得には設備、人的要件を満たす必要があり、状況によっては設備投資を伴う可能性もある。
法施行前にエーミングをしているか否かで経過措置の対象作業が変わるため、4月以降の事業活動の範囲に影響を及ぼすことになるわけだ。
特にバンパー、グリルの脱着を伴う車体整備事業者、エーミングを含めてガラス交換作業を行うケースもあるガラス補修事業者への影響は大きいとみられる。ガラス事業者については整備士資格の取得も大きな課題となっている。
業界内には4月までにエーミングを1件でも行い、実施した証拠を残すよう整備事業者に働きかける関係者も少なくない。
ただ、経過措置の対象となることに重きが置かれるのではあれば本末転倒。エーミングが適正に実施できるスキルと知識を習得することが何より重要であり、その努力がおそろかになってはいけない。
※日刊自動車新聞2020年(令和2年)1月9日号より