政府が新型コロナウイルス感染拡大に対する緊急事態宣言を25日に全面解除したが、サプライヤー各社は当面の企業活動に関して慎重な姿勢を見せている。〝第2波〟を警戒して解除前の勤務体制をまずは維持し、段階的に戻していく予定の企業が大半だ。一方で、感染防止策として進めたテレワークや在宅勤務の成果、課題も見え始めており、新しい働き方の一助になりそうだ。
25日に解除された東京都など5都道県に拠点を持つ会社は、しばらくは現状を維持する方針。ブリヂストンや日立製作所、旭化成などは原則在宅勤務を続ける。沖電気工業も今後1カ月程度は原則テレワークとする。
ミネベアミツミは出社率を当面の間は3割未満にし、住友ゴム工業も東京本社(東京都江東区)などの出社率を6月以降に様子を見ながら足元の3割から5割程度に徐々に上げていく。AGCや椿本チエインも段階的に勤務体制を戻していく方針。KYBは通常勤務に戻すものの、フレックスタイム制などを併用し「3密」を避ける。
必要に迫られて始まった側面が強いテレワークだが、新しい働き方が根付くきっかけとしても期待されている。会議や打ち合わせなど、可能なものはインターネット上に切り替えることで効率を高め、社員の育児や介護などと仕事の両立も後押しする。
ブリヂストンは一部の部署で昼休憩時にビデオ会議機能を活用した「コーヒーブレイクタイム」を設けた。社員の家族なども交えて業務以外の雑談をする時間だ。在宅勤務で不足しがちなコミュニケーション機会の創出を狙う。曙ブレーキ工業は在宅勤務中の社員にアンケートを行い、テレワーク中の困りごとや改善案を調査。アフターコロナの働き方に取り入れる。
※日刊自動車新聞2020年(令和2年)5月27日号より