新型コロナウイルスに関する「緊急事態宣言」の解除で、ようやく経済活動が再開する。しかし、コロナ禍が収束したわけではなく、依然として感染拡大に対する警戒や予防策は不可欠。自動車流通業界でも、これまでの新型コロナ対策を継続しながら、いかにして効果的な販促活動や店頭イベントなどを行うかなどに頭を悩ませることになりそうだ。

イベント開催などは判断が難しい(写真はイメージ)

新車市場ではコロナウイルス感染防止が問題となる中で、ディーラーへの来場者数が激減した。各社とも積極的な告知活動や店舗誘引策を手控えた影響もあり、販売台数の急減に結び付いた。緊急事態宣言解除後も事態の改善はすぐには難しいのが実情だ。先行して解除になった県でも店頭への客足は戻っておらず、「自動車販売の回復にはもう少し時間がかかるのでは」というのが共通認識だ。

その中で、ディーラーで注目を集めるのが「働き方改革の推進」だ。政府が従来から推奨してきたことだが、コロナ禍による自粛期間中にテレワークや時差出勤を取り入れた販売会社が少なくなかった。スタッフの生産性向上、業務効率の改善に効果が上がった事例も少なくない。このため、在宅勤務は今後継続されることになりそうだ。

AA業界では感染拡大防止を受け、来場を禁止する会場が現れた。ネットワーク接続する端末を通じた競り参加のみを受け入れ、AAを開催した。緊急事態宣言解除を受け、トヨタユーゼック(北口武志社長)ではこうした試みを解消し、全国の各会場で会員の来場、下見を受け入れ始める。

とはいえ、成約台数のうち40~50%を会場外からの応札が占めるのが最近のAA業界のトレンド。会員にとっても会場に出かける手間、コスト、時間を削減できるだけにメリットは大きい。コロナ禍を機にこうした流れが加速する確率は高い。

整備業界では多くの事業者で入庫台数はそれほど減少してない。点検、車検は時期が来れば必ず実施する上、一般整備や消耗部品の交換はある程度必要なためだ。その中で、各社とも〝3密〟を避けるために、作業間隔の確保や休憩時間、スペースに余裕を持たせるなどの取組みを続けている。今後もこうした施策は継続することになりそう。

大きな動きとして、4月の道路運送車両法改正で「特定整備」制度がスタートし、新たに「電子制御装置整備」が導入された。ただ、認証を取得するのに各地で講習会が今春に予定されていたにも関わらず、コロナウイルスで多くが中止、延期された。特定整備は2024年までの4年間の猶予期間があるものの、電子制御装置の搭載車は増え続けることが確実。こうした車両を整備するのに不可欠な資格講習会は今後随時行われることになりそうだ。