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自動車業界コラム

社員自らが対策案考えて
岩手トヨタ(小林義弘社長)は、ES(従業員満足)の向上に多角的な視点からアプローチするための、社員へのES調査結果を踏まえた取り組みを展開している。社員が働きやすい環境を提供することを第一に、社員から寄せられた意見から問題を抽出し、社員が自らの頭で問題の真因と対策案を考えることにより、取り組みの精度を高めた。また従業員が情報を共有することで、同社の目標達成に向けて社員が意識を高いレベルで持ち続けている。
 同社は、以前からES向上を重視した企業活動を展開してきた。その中で、ES向上に向け16年に立ち上げたのが「ESフィードバックミーティング」だ。社員が持つ会社や上司に対する不満を集約し、従業員の代表を集め、トヨタ流の問題解決手法で問題の真因を発見し、対策案を立てることを目的にしている。
具体的な取り組みを紹介すると、まず本部の営業施策を各店舗に十分に浸透させるために、本部の各部門は、本部施策や社内コンテストの企画段階から、進捗をフォローする計画も織り込み、施策が定着することを重視する。また、本部では店長が店舗スタッフに説明しやすいように、営業会議(店長会議)のポイントを押さえた議事録を作成する。月1回のミーティング実施などを通じて、社員全員が会社の取り組みを十分に理解できることにつながった。
また、社員研修についても内容を充実させた。資格等級に応じたキャリアアップ研修をはじめ、基幹職(管理職)や店長の候補生に対する研修内容を、問題解決手法の習得と自職場での問題解決の実践を個人テーマとして取り組ませている。
さらに、働き方改革の中心に位置付けられる残業の低減についても、効率的な働き方を追求した結果、収入(残業手当)が減少してしまうというパラドックスに対し、何とか社員のモチベーションを維持向上できる残業低減の方策に取り組んでいる。具体的には業務の生産性を高めて残業時間を削減した店舗に対して、業務改善への対価として、店舗に所属する社員を対象に手当を支給することを計画している。
17年から取り組む「創意くふう提案制度」では、19年度にコンテスト(個人戦・団体戦)を導入した結果、年間約500件の提案が寄せられ、車両登録に関する業務効率化など数多くの優秀提案が生まれた。今後も、社員が働きやすい職場環境づくりやコミュニケーションのさらなる活性化を推進する考えだ。

※日刊自動車新聞2020年(令和2年)6月23日号より