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自動車業界トピックス

乗用車メーカー8社の国内生産 コロナ影響 徐々に解消

コロナ禍による生産停止や減産から抜け出し回復基調

乗用車メーカーの国内生産が、コロナ禍による生産停止や減産から徐々に抜け出し回復基調を示している。7月は乗用車メーカー8社のうち、スズキがプラスとなり、スバルとダイハツ工業もほぼ前年実績並みまで台数を戻している。トヨタ自動車やマツダも着実に減少幅を縮めているが、日産自動車と三菱自動車は前年実績の半数に届かない水準が続いており、回復度合いに差も出始めている。また、7月の8社合計の国内生産は前年同月比20.1%減と、海外生産の同10.1%減に比べて回復のペースはまだ鈍い。市場の先行きが不透明な中、5月を底に8月以降で〝V字〟の回復を描けるか注目される。

 新型コロナウイルスの感染拡大が国内生産に影響を及ぼし始めたのは、中国からの調達部品の滞りによる稼働停止や生産調整が一部のメーカーで顕在化した2月からで、4、5月の連休を前後に各社が稼働停止に踏み切った。その後、部品供給網と国内外の需要回復で6、7月と国内工場の稼働状況は戻りつつある。

7月の国内生産では、8社で唯一プラスとなったスズキが6、7月と2カ月連続で二桁増となった。4、5月の生産調整で多くのバックオーダーを抱えていたことに加え、完成検査問題で生産ラインのスピードを落としていたことで昨年実績が低かったこともプラス要因となった。前年並みの生産台数を確保したスバルも、完成検査問題で前年実績の水準が低かった。

着実に国内稼働を戻しているのがトヨタとマツダだ。両社ともに輸出比率が高く、世界市場の回復に比例して生産台数も伸びてきている。トヨタは4月から工場の1直化などで減産を開始し5月には前年同月比で半減したが、7月は同22%減まで回復。9月は中国向けの輸出好調に加えて新型「ハリアー」の増産などで感染拡大前に決めた当初計画を約1%上回る見通しだ。

マツダは販売予測シミュレーションを立てて生産・在庫数の適正化にいち早く着手し、生産調整を進めてきた。需要動向に素早く対応する体制を構築し、7月は北米向けの輸出を同62.7%増と大幅に増やした。

一方、経営再建中の日産と三菱自の国内生産は低水準にとどまっている。日産は他社に比べ、コロナ禍で国内需要が落ち込む中でも販売をけん引するだけの新型車がないのが現状だ。国内生産の本格的な回復には、中期事業構造改革で打ち出す国内市場への新型車投入が待たれる。

※日刊自動車新聞2020年(令和2年)9月1日号より