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自動車業界トピックス

乗用車メーカー8社 既販車向け後付け装置出揃う

新車全装備の拡充と既販車の安全対策の両輪で運転操作ミスによる事故削減

乗用車メーカー8社による既販車向け後付け装置が出そろった。高齢ドライバーによる相次ぐ重大事故を受けた政府による製品開発の要請から1年で、各社が商品化にこぎつけた。この間、後付け装置を先行して発売していたトヨタ自動車とダイハツ工業は対象車種の拡大や新たな加速抑制機能を追加するなどの安全策を講じた。新車の安全装備の拡充と既販車の安全対策の両輪で、運転操作ミスによる事故削減を目指す。

後付け装置一覧

各社が市販化した後付け装置は、運転者がブレーキペダルと間違えてアクセルペダルを強く踏み込んだ際に加速を抑えるシステムで、サポカー補助金の対象となっている。日産自動車が2日に全国一斉発売した製品は、車両前後の超音波センサーが進行方向の約3㍍以内にある障害物を検知した状態で、アクセルを強く踏み込むと車内表示機のブザーで警告し、加速を抑制する。2012年に国内で販売を開始した「ノート」(E12型)の初期モデルへの装着を見込む。

トヨタは18年12月に後付け装置を発売し、現在は「アクア」や「アリオン」など12車種に対応する。また、20年7月に発売した「踏み間違い加速抑制システムⅡ」は新たな加速抑制機能を追加。実際の運転挙動をビッグデータとして分析し、前方に障害物がなくても高精度に踏み間違いを推定するアルゴリズムを組み込んだ。新製品はまず「プリウス」(15年12月~20年6月の生産車でインテリジェントクリアランスソナー非装着車)に対応し、来年1月までに「SAI」「クラウン」「マークX」へと広げる予定。

ダイハツは軽自動車向け「つくつく防止」を累計販売台数の多い2代目「タント」から適用をはじめ、現在は5代目「ムーヴ」を含む7車種8モデルに拡大した。

19年4月に東京都豊島区で起きた高齢ドライバーによる交通事故などを踏まえ、国土交通省は同7月に国内自動車メーカー8社に対して後付け安全装置の開発を要請した。これに対し、各社が対象車種の拡大や20年夏以降の商品化を計画するとしていた。新車への緊急自動ブレーキの搭載が進む一方、既存車の安全性向上が課題となっていた。

メーカー各社が既販車対策の商品をラインアップしたことで、操作ミスに起因する事故の削減効果が高まりそうだ。

※日刊自動車新聞2020年(令和2年)9月3日号より