東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県を対象とする政府の緊急事態宣言の再発令を踏まえ、感染防止対策を強化する動きが自動車業界で広がっている。自動車メーカーなどのオフィス業務ではテレワークの取り組みを強化し、自動車販売現場でも政府方針に沿って追加の対策を検討する。初めて緊急事態宣言が発令された昨年4月以降、業界各社は制度やITインフラを整えてきたため、混乱は比較的少ないが、通常であれば年度末にかけての最需要期に当たるだけに各社の生産や販売に与える影響が懸念される。
緊急事態宣言の発令は昨年4月に続いて2回目。今回の緊急事態宣言は前回の発令時と比べて限定的な内容になるものの、自動車業界では菅義偉首相が再発令の検討方針を打ち出した4日以降、自主的に感染防止策の強化を進めてきた。
いすゞ自動車は、緊急事態宣言の発令を受けて、東京都品川区にある本社への出社率を従来の3割から2割へ引き下げる検討を進める。政府は出社率を3割以下に減らす方針を示しており、従業員間の感染拡大を防ぐ。
三菱自動車は東京都港区の本社勤務の従業員に対し、これまで週1回以上の出社を求めていたが、6日から原則在宅勤務に変更した。出社する必要がある場合には、午後8時までの退社を促す。三菱ふそうトラック・バスも、これまで週2回までオフィス出社を認めていたが、緊急事態宣言後の8日から1カ月間は原則出社しないよう切り替える。
販売現場でも対策強化が進む。日本自動車販売協会連合会東京都支部(自販連東京)は5日、緊急事態宣言の発令に先立って「令和3年1月の緊急事態宣言における対応ガイドライン」を会員全30社に通知した。営業時間の短縮やイベントの縮小などを可能な範囲で検討するように呼びかける。会員ディーラー各社はガイドラインや政府方針を踏まえ、具体策を決める考えだ。
業界団体ではこのほか、東京都中古自動車販売協会・同商工組合(JU東京)がオークション会場で利用できる座席数を半分に減らし、日本自動車連盟(JAF)東京支部が1~2月に予定していた講習会や委員会などのイベント開催を見送ることを決めた。
※日刊自動車新聞2021年(令和3年)1月8日号より