中古車市場では、ユーザーが買い替えたり手放したりする際に発生する車が流通しています。新車ディーラーや買い取り店で下取りや買い取りされた車は、中古車販売店で消費者に対して小売りされるほか、業者間の中古車オークション(AA)に出品されて業者間で取引されます。日本車の人気は海外でも高く、AAなどで仕入れた中古車を海外へ輸出する専門業者もいます。

2019年度は、消費税増税による消費意欲の低下が新車販売に影響したことで下取り車が減少し、中古車も後半から流通量が減少する状況が続いています。一方、中古車市場で重要な役割を持つAAは後半で出品車の獲得に苦戦したものの、1~9月の出品台数が順調に推移し、19年の出品台数は765万4713台(日刊自動車新聞調べ)と2年ぶりに前年を上回る状況でした。また、主に新車ディーラーから出品車を集めるメーカー系のAAや、企業系AAなどによる新会場設置の動きでさらなる活性化に期待が高まっています。

 最近では、世界的に広がる新型コロナウイルスの影響により輸出の仕向け地での需要が縮小したほか、輸出各社が輸送をストップするなど中古車輸出が停滞しています。AAでは、輸出向けの車を求めるバイヤーからの引き合いが弱まったことで成約金額が大幅に減少するなど打撃を受けました。ユーザーから買い取った車をAAに出品して収益を得ている中古車買い取り店では、出品車に値が付きにくくなったことで収益見通しが厳しくなる状況が続いています。

中古車市場では、業者間売買などで名義変更や登録手続きといった時間を要するため、新車市場の動きが反映されるまでに2~3カ月のずれがあります。新型コロナウイルスによる新車販売への影響はこの夏にかけて中古車市場に波及し、低調推移が続く見通しです。