100年以上にわたる自動車の歴史で、クルマを走らせる動力源の主流は化石燃料を燃焼させてエネルギーを発生させる内燃機関です。ただ、近年は世界的に広がる環境規制強化で、走行中に二酸化炭素(CO)を排出しないモーターを動力源とする電動車の普及が加速しています。

モーターで走る電気自動車(EV)の歴史は実はガソリン車よりも古く、当初は有望視されていました。しかし、1908年に登場したフォード「モデルT」が成功すると、航続距離に難があったEVはいったん姿を消します。

21世紀になってこうした状況は変化します。世界中に自動車が普及したことで地球温暖化が問題となり、環境にやさしい「エコカー」が注目されるようになります。日本国内でエコカーブームの火付け役となったのがトヨタ自動車のハイブリッド車(HV)「プリウス」です。ガソリンエンジンとモーターを組み合わせ、低燃費と航続距離を両立したHVは一気に市民権を得ます。

 一方、欧州ではディーゼルエンジン(DE)車がエコカーの主流でしたが、独フォルクスワーゲン(VW)のDE車で排ガス不正問題が発覚してからは電動車シフトが加速しています。VWは今年から普及価格帯の新型EVの生産を開始し、次世代環境車の軸足をEVへ移しています。

国内乗用車メーカーによるEVは日産自動車「リーフ」の独壇場でしたが、ホンダやマツダも近くEVを投入する計画です。HVで電動車市場をけん引してきたトヨタも超小型EVを国内投入する予定です。スバルもトヨタと共同でEVを開発しています。

電動車には、水素と酸素を結合させて発電する燃料電池車(FCV)も存在します。価格の高さやインフラがネックとなりますが、EVに比べて航続距離が確保しやすいことからトラックなど商用車で実用化しようと、日野自動車やいすゞ自動車などが研究開発を進めています。