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よくわかる自動車業界

自動車業界入門 ㉖特定整備

今年4月の改正道路運送車両法施行で、新たに「特定整備」制度がスタートしました。今後増加する自動運転車の点検、整備を見据えたもので、従来の分解整備の対象だった原動機や制動装置など7つの装置に、自動運転の実現につながる「自動運行装置」を追加しました。さらに、カメラやミリ波レーダーなどの取り外しを伴わず、作動に影響を及ぼす整備、改造にまで定義を拡大し、名称を「分解整備」から「特定整備」に変更しました。これに伴い、監視用カメラやセンサーのエーミング(機能調整)作業を行う新たな認証資格「電子制御装置整備」が導入されました。

  背景にあるのは目まぐるしく進化する自動車の技術革新です。衝突被害軽減ブレーキ、車線逸脱防止システムなど先進安全機能の搭載車が増えています。このため、法改正で整備事業者に入庫対応を促しています。

電子制御装置整備はバンパーやフロントグリルの脱着作業も対象です。このため、整備工場だけでなくガラス事業者、中古車販売店、カー用品店など幅広い事業者で特定整備認証が必要です。

認証パターンは次の3通りです。①今までの分解整備のみ②電子制御装置整備のみ③分解整備と電子制御装置整備の両方を行う場合―。②は車体整備事業者やガラス事業者、③はディーラーや整備工場の取得を想定しています。

電子制御装置整備の点検整備作業場として、対象車両に応じたスペースやスキャンツール、水準器の保有などの基準が定められています。電子制御装置整備に対応できる能力を持つ整備主任者になれるのは、一級小型自動車整備士、資格取得講習を修了した二級自動車整備士、自動車電気装置整備士または自動車車体整備士です。

ただ、特定整備認証の申請には2024年4月までの4年間の猶予期間があります。法施行の際、すでに電子制御装置整備を実施していた事業場は、期間中に認証を持っていなくても事業を継続できます。

※日刊自動車新聞2020年(令和2年)6月3日号より