日刊自動車新聞社が自動車・二輪車メーカー14社に採用アンケートを実施した結果、2022年度の新卒採用方針として7割に当たる10社が「増やす」「前年並み」と回答した。コロナ禍で採用環境が急変し、先行き不透明な状態が続く中でも、会社の将来の成長を担う人材を安定して確保しようとする傾向が強い。21年卒の採用では大規模イベントや対面での説明会が中止になったことを踏まえ、オンラインと対面を組み合わせたハイブリッド型の採用活動の場を提供する動きも目立つ。
14社のうち、増やすと答えた企業は三菱自動車とUDトラックスの2社。三菱自は「今後の継続的な体制維持のため」、UDトラックスは「部門ニーズ増により大卒採用数は拡大の予定」と、それぞれ事業体制の強化に向けた積極的な人材採用への意向を示す。前年並みと回答したのは8社だった。コロナ禍であっても「基軸社員の要員確保を継続していく」(マツダ)と、会社の将来の成長を支える新卒採用は維持する。減らすと回答した企業はゼロだった。
昨年、各社の採用活動は新型コロナウイルス感染拡大の影響で大幅な見直しを迫られ、一部では混乱も生じた。「21年卒では、急きょイベントを中止したことで情報提供の場が少なくなり、企業理解が浅い学生が目立った」(スバル)といった声も挙がり、採用環境の急な変化への対応に課題が出た。こうした経験を踏まえ、各社は企業説明会や選考の一部でオンラインを活用するなど、コロナ禍の新たな採用活動の姿を見いだす。企業側、学生側ともにオンラインへの対応を進めているが、会社の雰囲気や学生の熱意を完全に把握したり、伝えたりすることは難しい。このため、「オンラインと対面の双方のメリットを生かした活動を実施していく予定」(トヨタ自動車)と、各社はオンラインと対面を組み合わせたハイブリッド形式の定着を狙う。
アンケートは3月10~26日までの期間、日本自動車工業会(自工会、豊田章男会長)に加盟する14社を対象に実施した。
※日刊自動車新聞2021年(令和3年)4月6日号より