国内の電動車比率が上昇している。登録車と軽自動車を合わせた乗用車のハイブリッド車(HV)など電動車の2020年度(20年4月~21年3月)販売比率は、前年度から2.2㌽上がり37.2%と過去最高を更新した。販売台数は前年度比1.7%減の143万5852台とコロナ禍で減少したものの、マイナス幅は乗用車市場(同7.5%減)よりも小さかった。3月単月の電動車販売は前年同月比12.3%増、比率も38.1%となるなど、電気自動車(EV)の車種拡大や国の補助金制度拡充によって電動車の普及機運はますます高まっている。
日本自動車販売協会連合会の燃料別販売台数と全国軽自動車協会連合会の通称名別電動車内訳を基に、HVとEV、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)の4車種の合計台数を本紙がまとめた。
登録車の電動車販売は新型コロナウイルスの影響による需要減もあって前年度比8.4%減の97万8958台と落ち込んだ。電動車比率は前年度より0.1㌽上がり39.2%とほぼ横ばい。EVが同26.2%減と落ち込んだ一方で、FCVはトヨタ自動車「MIRAI(ミライ)」が全面改良したことで同2.1倍となった。PHVは三菱自動車「エクリプスクロスPHEV」の投入効果などもあって同1.8%減にとどまった。輸入車は各ブランドが電動車ラインアップを拡充していることもあり、HVが3.6倍、EVが2.3倍となった。
軽自動車は同16.6%増の45万6894台となり、電動車比率は33.5%と前年度より6.3㌽上昇した。HVを設定した「ルークス」の投入で前年度より2倍となった日産自動車がけん引役となった。昨年末にトヨタが投入した軽唯一のEV「C+pod(シーポッド)」は24台の届け出があった。
3月単月では登録車、軽自動車ともに前年同月比2桁増となり、足元の電動車販売はさらに勢いを増している。特にEVは、トヨタ「レクサスUX300e」やホンダ「ホンダe」、マツダ「MX―30」などの新規EV車種に加え、米EV大手・テスラの主力車の値下げもあり、同88.1%増と大きく台数を伸ばした。国内EVで最も販売ボリュームが大きい日産「リーフ」も同20.5%増となった。
日産・日本マーケティング本部の柳信秀チーフマーケティングマネージャーは、リーフの販売好調の背景として「カーボンニュートラルへの取り組み、意識が加速したことでよりEVへの関心が高まった。特に昨年度末にかけて電動車購入に対する各種補助金が充実してきた」ことなどを挙げる。ただ、EVやPHVはHVに比べ車種は少なく、また一部の車種は販売台数を限定するなどユーザーの選択肢は限られる。さらなる電動車の普及には車種の拡充に加え、供給力が鍵を握りそうだ。
※日刊自動車新聞2021年(令和3年)4月8日号より