自動運転は、これまでドライバーが行っていた自動車の操縦をシステムが代行するものです。安全な運転に必要な「認知」「予測」「操作」を自動運転システムが担うことになります。
自動運転車には自車の周辺情報を認知するために、カメラやライダーといった様々なセンサーを搭載しています。こうした検知デバイスに加えて、路側の信号や他の自動車とやりとりした情報を認知・判断に使うことが自動運転の実現に欠かせません。
自動運転は「0(ゼロ)」から「5」まで6段階のレベルが規定されています。システムがどの程度の運転操作をを担うかで区分されており、操作の主体はレベル1と2がドライバー、レベル3~5はシステムです。ただ、レベル3はシステムでの操作判断が難しくなると、主体がドライバーに切り替わります。
自動運転車が普及することで、交通事故の削減や高齢者の移動支援、渋滞の解消・緩和など多くの社会課題の解決が期待されています。そのため政府は技術開発と普及の目標を掲げました。自家用車では高速道路で2020年をめどにレベル3、25年をめどにレベル4の実現。そして21年3月にホンダがレベル3を搭載した「レジェンド」を発売しました。
また無人自動運転移動サービスは限定地域で20年までに実現し、25年以降の全国展開を目指しています。物流サービスでは高速道路で後続車無人隊列走行システムの技術確立を20年度、商業化を22年度の目標にしました。
社会課題の解決につながる自動運転ですが、一方で、巨大ビジネスを生む可能性のある新規マーケットでもあります。自動運転車の開発、実用化を巡っては既存の自動車メーカーのみならず、アップルやグーグルといった世界のIT企業も参入しました。車両設計やシステム開発は自社で行い、生産は外部企業に委託するファブレス経営を持ち込み、OS、スマートフォン同様に莫大な利益を生み出すビジネスモデルの構築を狙っているのです。
※日刊自動車新聞2021年(令和3年)4月21日号より