日本自動車工業会は22日、オンラインで会見を開き、豊田章男会長が政府の打ち出した2050年までのカーボンニュートラルの実現に向けて「ガソリン車を禁止するような政策は、技術の選択肢を狭め日本の強みを失うことになりかねない」と述べ、国内メーカーが強みを持つ内燃機関の活用を排除せずに、ハイブリッドシステムを含む電動化の多様な選択肢を選べる政策が日本には重要だとの認識を示した。
さらに、電動化技術の選択肢を狭めることにつながる内燃機関を規制する政策決定について、豊田会長は「カーボンニュートラル実現がゴールであり、この順番が逆にならないようにしてほしい」と、広い視野でさまざまな技術を活用する必要があることを理解して欲しいと強調した。
豊田会長はこれまでも、火力発電比率が高い日本において、エネルギー政策の見直しがなければ車両製造時などの二酸化炭素(CO2)排出を含めたLCA(ライフサイクルアセスメント)で脱炭素化が難しい点を指摘してきた。こうした中で豊田会長は「日本らしいカーボンニュートラル実現の道筋がある」と述べた。それは国内の自動車メーカーが蓄積してきた環境技術や省エネ技術を組み合わせた「複合技術が日本の強み」だという。
水素とCO2を合成して製造する「eフューエル」などカーボンニュートラル燃料の実用化が保有車両にも有効である点を例に挙げ「選択肢を狭めることだけはやめてほしい」と言葉を重ねた。
※日刊自動車新聞2021年(令和3年)4月23日号より