日本自動車工業会(自工会、豊田章男会長)は、自動車産業に関連する二酸化炭素(CO₂)削減の取り組みなどをまとめたデータ集をホームページ上で公開している。自工会は、政府が打ち出す2050年までのカーボンニュートラル達成に向けて「自工会として全力でチャレンジする」(豊田会長)と宣言している。一方で、国内の電源構成見直しなどカーボンニュートラルの達成には自動車産業単体では難しい。データ集では日本と欧州の政策比較やライフサイクルアセスメント(LCA)の考え方などを紹介し、多様な環境技術を生かしたカーボンニュートラル実現への道筋を示している。
豊田会長は政府が脱炭素に向けた方針を示した昨年末以降、記者会見において「カーボンニュートラルの本質を正しく理解した上で対応することが必要」と強調してきた。欧州が強力に推し進める電気自動車(EV)シフトは、火力発電比率が高い日本においてはLCAも含めた視点で脱炭素化が難しい点を指摘してきた。自工会ではこれを裏付けるデータをまとめ、4月下旬からホームページに掲載している。
データ集では、日本と海外のエネルギー状況や各国のカーボンニュートラルの取り組みを紹介。さらにハイブリッド車(HV)に強みを持つ日本のCO₂削減比率が米国やドイツに比べて高い点を示し、これまで蓄積してきた環境技術を含めた「電動車フルラインアップ」が日本の強みとする。今後もデータベースを追加し、コンテンツを充実していく方針だ。
※日刊自動車新聞2021年(令和3年)5月11日号より