トヨタ自動車とホンダのハイブリッド車(HV)を含む電動車両の世界販売台数が急増している。トヨタの2020年度の電動車販売台数は初めて200万台を突破、ホンダは前年度比3割以上伸びた。コロナ禍の影響で20年度の世界の新車市場は前年割れとなった中、電動車の引き合いの強さが際立った。
トヨタの20年度の世界販売台数は同4%減の908万7303台、ホンダが同4%減の465万5246台と、ともにマイナスだった。このうち、電動車の販売台数はトヨタが同12.3%増の約215万5千台となり、初めて200万台を超えた、ホンダは同33.8%増の約52万5千台と大幅に伸びた。販売全体に占める電動車比率はトヨタが前年度と比べて3.5㌽アップの23.7%、ホンダが同3.2㌽増えて11.3%と1割を超えた。
地域別の電動車販売では、両社ともに販売を伸ばしたのは北米市場のHVだ。トヨタは「シエナ」や「ヴェンザ」、「ハイランダー」、「カムリ」などが好調で各モデルとも電動車販売台数が4割近く増えた。ホンダは20年3月に市場投入した「CR―V」のHVが好調で、同43.4%増と大幅増となった。
新車市場が唯一好調だった中国では両社のHVが全体をけん引した。ホンダは「ブリーズ」や「オデッセイ」などの販売が好調で、中国のHV販売台数が同78.2%増だった。
欧州では、トヨタの電動車販売台数が同2.2%減とマイナスとなったものの、販売ボリュームが小さいホンダは「フィット」(欧州名=ジャズ)の新型車効果で電動車販売台数は前年実績から倍増した。
ゼロエミッション車の販売も徐々に増え始めた。トヨタは20年に中国や欧州を中心に電気自動車(EV)の展開を開始し、販売台数は合計で約6千台だった。ホンダは欧州市場に投入した「ホンダe」、中国で展開する「X―NV」などが好調に推移し、合計販売台数は1万6千台だった。
また、三菱自動車は「ミニキャブ・ミーブ」が好調で、国内のEV販売が同68.4%増となった。
EVの販売は増えたものの、新車販売に占めるトヨタ、ホンダそれぞれのEVとFCVの販売比率は1%に満たないレベルで、30~40年を見据えた両社それぞれの目標と比べるとかい離している。
※日刊自動車新聞2021年(令和3年)6月1日号より