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よくわかる自動車業界

連載 自動車業界入門 ㉗検査登録制度

検査登録制度は、車が安全に走行するために定められた「保安基準」に合致しているかどうかを定期的に検査するもので、いわゆる「車検」のことです。車は大変便利ですが、きちんと整備されていないと動きがおかしくなって交通事故を起こしたり、排気ガスの浄化能力が落ちて大気汚染の原因になるなど環境、社会に悪影響をおよぼす危険があります。国は車検によって車が不調になることを未然に防ぎ、適正な走行につなげることをねらっています。

 車検には新規、継続、構造等変更などの種類があります。原付自転車などを除く車検の対象車は、検査に合格し自動車検査証(車検証)が交付されなければ公道を走行できません。

車検は整備工場に依頼するか、各地の陸運支局にユーザーが車を持ち込み行う方法があります。軽自動車は、民間の軽自動車検査協会が担当します。乗用車の新車の場合、購入後の初回車検は登録から3年後で、以降は継続検査を2年ごとに行います。

同時に、車の所有者を特定する制度でもあります。車1台ごとに異なる自動車登録番号票(ナンバープレート)を取り付け、個々の車の識別を可能にしています。こうした登録には新規、変更、移転、抹消などの種類があります。

登録によって、盗難された場合に所有権が主張できるほか、車が違法放置された際に所有者を把握し適正な対応を求めることが可能になります。車は個人や企業の所有物ではありますが、道路という公共インフラを利用する社会性の高い道具のため適正な管理が求められます。検査登録制度があればこそ、その管理が実現しているといえます。

これらの検査登録業務は、自動車登録検査業務電子情報処理システム(MOTAS)によって全国の登録窓口と中央の登録センターがオンラインで接続されてリアルタイムで処理されています。また、検査登録の手続きなどをオンラインによって一括で行えるワンストップサービス(OSS)の導入や、2022年度には車検証の電子化(ICカード方式)などでデジタル化も推進される予定です。

※日刊自動車新聞2021年(令和3年)6月8日号より