日本自動車工業会(自工会、豊田章男会長)、日本自動車部品工業会(部工会、尾堂真一会長)など、5つの業界団体が自動車関連分野のカーボンニュートラルを実現するため、共同事務局を新設する。二酸化炭素(CO2)排出量削減に向けて自動車業界全体の課題を抽出するとともに、中小企業も巻き込んで対策を打ち出す。ライフサイクルベースでのCO2排出量削減につなげる。5団体以外の団体の参画も募り、政府などに対して実効性の高い施策を求めていく。
自工会、部工会、日本自動車車体工業会(車工会、宮内一公会長)、日本自動車機会器具工業会(自機工、辻修理事長)、日本自動車販売協会連合会(自販連、加藤和夫会長)の5つの業界団体が中心となって事務局を新設する。職員は各団体の事務局や会長の出身企業が派遣する予定で、自工会が幹事となる。

共同事務局を設置するのは、自動車の材料などの採掘、製造や使用時のエネルギーの構成、廃棄など、ライフサイクル全体を通してのCO2排出量を削減するための重要なカギとなる中小企業のカーボンフリーの取り組みを強力にバックアップするためだ。
昨年10月に菅義偉首相が50年のカーボンニュートラル化を宣言した後、自動車関連の中小企業でも脱炭素化に向けた意識が高まっている。ただ、投資余力の限られる中小企業では「(対応するのは)単独では困難」(部工会)、「考えている余裕がない会員企業がほとんど」(自機工)なのが現状だ。
自動車メーカーの一部では、サプライヤーなどに対して企業活動でのカーボンニュートラル化を要請している。共同事務局を通じて、自動車業界が一丸となって脱炭素化を推進するための課題などの認識を共有するとともに、具体的な対策を検討して、各団体の会員企業に展開していく。
また、5つの業界団体以外の自動車関連団体とも連携していく方針。各業界団体はこれまでカーボンニュートラル化に関して政府に対して個別に要望してきた。広く業界団体間で情報を共有することで、発信力を高め、より実効性の高い施策の実現を目指す。
共同事務局ではカーボンニュートラルに加え、政府が進めるデジタル化への対応策も検討する。
※日刊自動車新聞2021年(令和3年)6月15日号より