電動車の比率が着実に高まっている。2021年上期(1~6月)の乗用車販売(含軽)に占める電動車比率は約4割に迫った。電池や半導体の不足といった影響を受けて需要に供給が追い付かないモデルも多いものの、ハイブリッド車(HV)を中心とする電動車が国内販売をけん引した。
特に電動車比率が急速に高まっているのが日産自動車で、電動車の比率が上期として初めて70%を超えた。上期の電動車販売は前年同期比22.7%増の14万4541台だった。乗用車販売全体では約1割の増加だった。マイルドハイブリッド車(MHV)の軽自動車が好調なほか、「ノート」や「キックス」などの「eパワー」専用車を拡充した商品展開が奏功した。軽は増加率が鈍化したものの、「デイズ」と「ルークス」のMHVが6万3986台で同44.2%増加した。
日産のほか、スズキや三菱自動車といった軽MHVを展開する自動車メーカーは電動車比率が高くなる傾向にあるが、登録車に絞った電動車比率も日産は65.8%と、国内メーカーでトップの水準だ。全面改良でeパワー専用モデルとなったノートが半導体不足による生産影響を受けながらも好調に推移したためだ。
市場全体の電動車比率は増加傾向にあるものの、メーカーによって状況にはばらつきはある。国内でHVの普及を引っ張ってきたトヨタ自動車の電動車比率は同1.0㌽減の40.1%と微減だった。電動車の販売台数は同10.7%増の27万4027台と増加した一方で、電動車以外の販売台数がより多く増えた。HVの需要は好調だったが、車載電池の供給力不足などでHVの納期が長期化したことが響いたとみられる。
ホンダは、軽に電動車を設定していないため、電動車比率は高くないものの、緩やかに増加しており、21年上期の比率は29.2%だった。ホンダの場合、半導体不足などの影響でHVを主力とする「フィット」や「ヴェゼル」の供給が遅れたため、半導体不足の影響が解消されれば電動車の販売も増加する見通しだ。
市場全体の電動車比率は同2.2㌽増の38.0%だった。うち登録車の比率は41.2%、軽自動車の比率は32.3%だった。
※日刊自動車新聞2021年(令和3年)7月15日号より