富士経済(清口正夫社長、東京都中央区)がまとめた日本や中国、米国など主要16カ国を対象にした電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)向け充電インフラの普及動向調査で、中国や米国に比べて国内の充電器普及の遅れが鮮明となった。EV普及が進む中国では、オフィスビルや公的機関を中心に設置が増加しており、米国でも商業施設などで設置が広がる。設置数で日本を引き離している。

国内の2020年普及状況は普通充電が19年比6.0%増の2万7600個、急速充電器が同2.2%増の7835個、ワイヤレス充電器が同50.0%増の300台。プラグイン充電器の7割以上が普通充電で、特に3㌔㍗以下の低出力のものが多いという。急速充電ではCHAdeMO(チャデモ)の出力も50㌔㍗以下が大多数を占めており、チャデモ協議会と中国電力企業連合会が共同開発している超高出力新急速充電規格「ChaoJi(チャオジ)」の設置が増えるのは30年以降になる見通し。米国や中国に比べ、高出力化は進んでいない。

EV普及が進む中国は、充電ステーション数が20年で19年に比べて3040カ所増加し、累計で3万1400カ所となった。主にオフィスビルや公的機関を中心に設置が進んでいる。充電ステーション1カ所当たりのコネクター数は20.4個で他国と比較しても充電ステーションの大規模化が加速している。チャオジ規格への注力度が高く、25年ごろから同規格対応のEVと充電器が投入され、30年以降に普及が急速に進む見込み。

米国でもEV・PHV向けインフラ整備が進む。20年は19年比で普通充電器は1万個以上、急速充電器はCCS(コンボ1)やスーパーチャージーを中心に1千個以上新たに設置され、充電ステーションも915カ所増加して累計2万3050カ所となった。ワイヤレス給電では、EVバス向けが増加しており、ニューヨーク州などでは後付けタイプの設備導入が増えているという。

※日刊自動車新聞2021年(令和3年)7月17日号より