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自動車業界トピックス

〈本紙アンケート調査〉サプライヤー、新卒採用に苦戦 「計画通り」は4割

技術力低下の懸念

自動車部品サプライヤーが新卒採用に苦戦している。日刊自動車新聞社がサプライヤーを対象にした採用に関するアンケート調査で、2022年4月入社予定の内定者数を計画通り確保できた企業は全体の4割にとどまった。部品メーカー各社は全体的にアフターコロナの経済回復や自動車業界の大きな変革に対応するため、若手人材を獲得する意向が強いものの、計画通り確保できていない。自動車産業を支える部品メーカーでの採用難が続いた場合、技術力が低下して国内自動車産業の弱体化につながりかねない。

アンケートに回答した74社のうち、当初計画通りに採用できた企業は「ほぼ計画通り」を含めて30社にとどまる。今春採用実績より採用計画人数を減らしているものの、それでも計画していた人数を確保できなかったサプライヤーもある。

次世代技術への対応には若手人材の確保が欠かせず各社争奪戦となっている

回答した74社のうち、今春採用実績との比較で内定者数が上回っている企業は22社で、今春採用実績を下回っている企業が30社だった。全体の4割以上で今春よりも内定者数が減っているが、技術系だけでみると5割近くのサプライヤーが今春採用実績よりも少ない。部品メーカー各社は電動化や自動運転など、自動車技術の急速な進化に対応するため、技術系の採用意欲を高めている。しかし「コロナ禍でも採用活動を積極化している企業が多く、理系の採用が厳しい」(トーヨータイヤ)と、他業界に競り負けているのが実態だ。

また、技能系についても少子化や高卒の就職希望者が少ない中、各社の争奪戦となっており「競争率が高い」(ファルテック)という。フジオーゼックスは「技能職以外は計画通りの人数を採用できた」とし、技能職のみ二次募集を実施する。

バッテリーとモーターがキーデバイスとなる電気自動車(EV)や、半導体や人工知能(AI)で実現する高度な自動運転など、自動車に求められる技術の中心が変化しており、化学系や電気・電子系、IT系に強い学生の確保に注力するサプライヤーは多い。しかし、内燃機関が中心だった自動車産業は機械系以外の理系の学生の就職先として人気が高いとはいえない状況だ。求める人材を確保できるかは、急激に変化する自動車業界での生き残りを左右するだけに、各社とも今後の対応に頭を抱えている。

※日刊自動車新聞2021年(令和3年)10月12日号より