軽妙な語り口で相手を引き込む明るさが持ち味。これまでの経験で積み上げた整備スキルは、佐倉王子台店のサービス工場を支える要だ。お客さまの安全と安心を預かる責任感の強さに、妥協しないメカニックの意気込みが伝わる。
「このお兄さんはクルマのお医者さんなんだよ」。駆け出しのメカニック時代のことだ。依頼された整備車両を引き取りに行ったお宅で、母親が子どもにこう話した。「そうか。お客さまはメカニックのことをそう見ているんだ」。この言葉に伊藤さんは「メカニックはお客さまの心の不安も直す仕事なんだ」と受け止めた。
この時の経験はしばらくして確信に変わった。何かの機会に触れた本田宗一郎氏の言葉だ。「整備士はクルマを直して当たり前。大切なのは不安になっているお客さんの心を直すことだ」。かつてクルマを引き取りに行ったお宅で感じたこと。それと同じ言葉をホンダの偉大な創業者が語っていた。改めてメカニックが何を大切にすべきかを教えられた。
結婚を機に千葉県に移住した。ホンダカーズ東総のメカニックになって6年目。これまでいくつかの会社を経験してきた伊藤さんにとって、ホンダカーズ東総は「一緒に働く仲間同士の連帯を感じます。営業とサービスに溝がなく、コミュニケーションのとれた会社だと思います」と話す。
会話のテンポがよく、初対面でも気さくに話せる雰囲気がある。自身も「営業の仕事も向いているといわれます」と笑う。だがメカニックとしてのプライドは人一倍だ。生涯現役の現場メカニックとして、お客さまに尽くしたいとするい思いが誰よりも強いようだ。