落ち着いた表情で静かに語る姿に信頼感が漂う。高い整備スキルとチームを引っ張るリーダーとしての存在感が、中村さんの魅力だ。
高校時代、体操選手として全国屈指の強豪校で活躍した。将来が期待され、大学進学も内定していたが、中村さんは自動車整備士になることを選んだ。「このまま体操だけを続けていていいのか」。何度も悩み、最後まで考え抜いた答えが、メカニックへの道だった。
　自動車大学校時代は熱心に勉強に取り組んだ。「体操しかやってこなかった自分が初めて勉強に目覚めました（笑）。在学中の２年間は真剣に頑張ったと思います」。その結果は、常に学内上位の成績となって表れた。
都内の大手ディーラーに入社後も自己研鑽を怠らなかった。取得できる社内資格を全て最短年次でクリアし、若くしてトップメカニックに上り詰めた。だが、ここで気持ちが一瞬、途切れた。「目指すものを失ったというか。一度自分をゼロリセットしようと思った時に、新規店舗の社員募集をしていた東邦オートと出会いました」。
今や現場のリーダー格となった中村さん。最初に取り組んだのがチームワークづくりだった。「お客さまの満足度を上げるためにもチームワークは大切。新規オープンから２年を経て、一緒に働く仲間のスキルは確実に上がってきたと感じます」。その働く意欲向上に中心的な役割を果たしたのが自身であることはいうまでもない。
後輩たちから「一緒に仕事をしていて楽しい」といわれることがモチベーションだと話す。次に目指すのはボルボの最上位資格「レベル４」と国家１級の資格取得だ。常に目標を持つことで前に進み続ける中村さんだ。