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自動車業界トピックス

自動車メーカー各社、生産正常化への道険しく

物流混乱が追い打ち 半導体不足も先行き不透明

半導体不足や新型コロナウイルスの拡大が自動車の国内生産に与える影響が長引いている。自動車メーカー各社の稼働率は回復傾向にあるが、足元ではトヨタ自動車やホンダが操業の一時停止や減産を公表。従来の問題に加え、物流の混乱による影響も発生しており、トヨタは「成田空港で部品の通関にかかる時間が長期化している」と、新たに浮上したボトルネックを明かす。すでに挽回生産のフェーズに入っているものの、頻発する新たな問題の対応に追われ、自動車メーカー各社が描くシナリオ通りには生産できない状況が続いている。

写真はイメージ

トヨタは11月時点で12月に7カ月ぶりに全工場で通常稼働に戻す計画だったが、12月8日以降に田原工場(愛知県田原市)など複数の国内工場で稼働を一時的に停止。12月以降は生産キャパシティーを最大化して挽回生産する計画だったが、結果的に12月には約2万2千台、1月には約2万台を減産する見通しになった。高水準な生産台数であることに変わりはないものの、計画通りには生産できない状況が続く。

ホンダも20日までに鈴鹿製作所(三重県鈴鹿市)の12月の生産台数を当初計画に比べて1割減らす計画を明らかにした。12月中旬時点では国内3工場全てを通常稼働に戻す計画だったが、東南アジアでのコロナ禍に起因して部品の調達が滞る問題などが発生し、対象部品を使用したモデルを生産する鈴鹿製作所の稼働率を落とす。

これまでは半導体不足と東南アジアでのコロナ禍の影響が主な原因だったが、新たな問題も表面化している。トヨタが指摘するのが国内空港での混乱だ。

部品物流を巡っては、コロナ禍以降の船便の遅延やコスト上昇などを背景に、部品の種類や必要度に応じて航空便を使用するケースが増加した。だが、成田空港では部品の通関に要する時間が長期化し、その後のトラック輸送に円滑につなげにくい状況になっているもようだ。通関の混乱は当面継続するとみられ、トヨタは1月も国内で減産することを決めた。

ほかにも懸念材料はある。生産台数の拡大に向けて自動車メーカー、部品メーカーともに人件費を手厚くして人員を拡充しているが、中堅以下の部品サプライヤーの一部では人員確保が追い付かず、ボトルネックになる可能性を指摘する見方がある。また、影響が軽微になりつつある半導体不足についても先行きは不透明で、三菱電機では「(半導体不足の解消まで)今から半年は絶対にかかる」と予想する。今後、自動車メーカー各社は高い水準での挽回生産を計画するが、次から次へと出てくる問題への対応を迫られる状況は続きそうだ。

※日刊自動車新聞2021年(令和3年)12月22日号より