2022年の国内新車販売市場の行方は、不安定な新車供給状況の改善がカギを握る。足元の受注台数は依然として堅調に推移しており、個人ユーザーの需要自体は底堅く推移するとみられる。一方、自動車メーカー各社は年度末に向けて挽回生産を目指しているものの、部品調達難に加えて物流のひっ迫など、流通の安定化にはなお課題が少なくない。世界的に新型コロナウイルスの変異株が猛威を振るい始めるなど、海外生産部品も含め供給の不透明感は拭えない状況が続く。こうした環境を踏まえ、日刊自動車新聞は今年の国内新車販売台数を登録車と軽自動車の合計で454万台と予測した。
新車ディーラー各社は、納車待ちとなる受注残台数を大量に抱えており、当面は生産量の拡大に比例して新車登録、届け出台数が積み上がる状況だ。ただ、不安材料は少なくない。トヨタ自動車は12月から国内全工場を通常稼働に戻し、年度末に向けた挽回生産に舵を切る計画だったが、結果的に複数の工場で稼働を一時的に停止。先行きの見通しを立てることは困難であることが浮き彫りとなった。
一方、需要自体は堅調に推移しているとの声が少なくない。特に個人ユーザーの新車への引き合いは底堅く、保有客からの代替が7、8割を占める新車販売活動が大きく出遅れることはなさそうだ。
不安材料となりそうなのは、企業の代替意欲だ。自動車リースなどでは長納期化を受けて再リースを選択するケースも増えており、営業活動次第では需要を取りこぼす恐れもある。
また、コロナ禍によって働き方や営業活動のリモート化が進んでおり、車両台数を見直す企業も増えている。脱炭素に向けた電動車への入れ替えなど、新たな切り口での提案活動がうまく機能しなければ、企業の代替意欲が下振れする可能性もある。
こうした状況を踏まえ、22年新車販売台数の本紙予測は、登録車286万台、軽自動車168万台とした。長引くコロナ禍や減産の影響の先行きを販売現場で見通すことは難しいだけに、新車ディーラー経営は従来以上に新車販売への依存率を引き下げる戦略を迫られそうだ。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)1月5日号より