日産自動車とルノー、三菱自動車の3社アライアンスは27日、2030年までに5つの電気自動車(EV)専用共通プラットフォームをベースに35車種の新型EVを投入するなど、将来に向けた実行計画「アライアンス2030」を策定したと発表した。今後5年間で電動車開発に230億ユーロ(約3兆円)を投資して競争力の高いEVラインアップを拡充する。日産は欧州市場に「CMF─BEV」プラットフォームを採用した小型車「マイクラ」の後継となるEVをルノーの工場で生産する。アライアンスを束ねるジャンドミニク・スナール議長は「持続可能な成長に向けてアライアンスの力を結集する」と述べた。

 アライアンスは3社が得意とする開発分野ごとに主導役を決め、開発した技術を横展開する「リーダーとフォロワー」の枠組みを構築しているが、今回、30年に向けてEVとコネクテッドモビリティに投資を集中する具体的な実行計画を策定したもの。

EV専用プラットフォームは軽自動車向け、低価格車向け、コンパクトカー向け、小型商用車向け、フレキシブル性の高いCMF-EVの5つを展開する。このうちコンパクトカー向けのCMF─BEVは24年に投入する予定で、マイクラ後継モデルなどに展開、年間25万台分のEVに採用する計画。日産「アリア」のプラットフォームCMF―EVは30年までに15車種以上に展開し、年間150万台分のEVに採用する。

EVに搭載するバッテリーは共通化するとともに、ルノーと日産のコアマーケットで共通のサプライヤーを選定、スケールメリットを生かし、バッテリーコストを26年に50%、28年には65%削減を目指す。30年までに世界の主要生産拠点で計220㌐㍗時の生産能力を確保する。

アライアンスのプラットフォームの共用化率は現在60%だが、26年に80%にまで高める計画で、計90車種で共通化する。三菱自はルノーの最量販車種をベースにした新型「ASX」など、2車種を欧州市場に投入する。

全固体電池では日産が技術革新をリードする。28年半ばまでに量産し、将来的に1㌔㍗時当たり65㌦(約7500円)まで引き下げて内燃機関車と同等のコストのEVの実用化を目指す。ADAS(先進運転支援システム)や自動運転の分野では、プラットフォームと電子システムを共通化して26年までにアライアンス全体で45車種に運転支援技術を搭載、1千万台以上の販売を見込む。新しい電気・電子アーキテクチャーの開発はルノーが主導して25年までにソフトウエア定義のモデルを市場投入する。

※日刊自動車新聞2022年(令和4年)1月28日号より