経済産業省は、国内で半導体産業の人材育成を図るための全国規模のコンソーシアム (企業連合)を今春にも立ち上げる。半導体関連企業、団体に加えて、需要側である自動車関連企業なども参画する見通しで、半導体のサプライチェーン(供給網)を国内に再び根づかせる狙いがある。大学や高等専門学校(高専)などとも連携して若手の人材育成にもつなげる。国の戦略物資となっている半導体産業を強化して半導体を使用する日本の製造業を支援する。
経産省が主導して産業界が中心となってコンソーシアムを立ち上げる。すでに設立に向けた準備に入っており、自動車メーカーや部品メーカーなど、自動車関連企業・団体に参画を呼び掛けている。コンソーシアムには半導体メーカーや装置メーカーのほか、組み込みソフト開発に関わる企業や団体も参画すると見られる。
参画企業が持つ半導体の生産に関わる設備や装置を大学や高専に提供するとともに、技術者同士の交流なども検討する。半導体に関する若手人材を育成するための基金創設も検討する。
半導体産業の人材育成を軸とした産官学組織は、2日に福岡県で発足した「福岡県グリーンデバイス開発・生産拠点協議会」や、長崎県が10日に設立会議を開く「ながさき半導体ネットワーク」(仮称)などがすでにある。経産省としては、こうした動きを全国へ広げ、より強力なサプライチェーンを構築する。
政府は日本の半導体産業の復興に向け、生産工場の誘致に力を入れている。補助金制度も新設し、ファンドリーである台湾積体電路製造(TSMC)が熊本県に新設する工場に拠出を決めた。産官学が一体となった組織を立ち上げることで、優秀な人材の確保や育成にもつなげる。
自動車産業でも電動化や自動運転技術で半導体の重要性は増している。その一方で、足元では半導体不足が深刻化、自動車生産が停滞する事態に陥っている。自動車メーカーとしても半導体産業の若手育成を支援することは、安定した生産体制の構築にもつながる。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)2月8日号より